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環境に関する教育・研究と地域連携

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兵庫県における調整水田植生の地域性

発達科学部人間環境科学科自然環境論コース4年生江間

5月17日に行われた「持続可能な社会のための環境学生会議第1回」に参加し、卒業研究である「兵庫県における調整水田植生の地域性」について発表しました。

近年、水田は除草剤散布や圃場整備のために農業形態が大きく変化したことで、生物多様性の低下を招いていますが、一方で休耕田や放棄水田が多くの水生生物の生息地を供給しているといわれています。特に、通常の稲作と同様に水を張る調整水田と呼ばれる休耕田は、湿性状態が保たれるため水生植物の避難場所となる可能性があります。しかし、水田植生については、水田雑草の防除などの研究はありますが、調整水田を対象とした植生学的な研究はほとんどないのが現状です。また、兵庫県北部は降雨・降雪量が多く、単作が実施されているのに対して、南部は降水量が少なく、三毛作も盛んであるなど気候的環境や耕作スタイルに特徴があるため、兵庫県の調整水田植生には地域的な差があると考えられます。

そこで、卒業研究では、兵庫県北摂・但馬・西播磨・淡路島地域の調整水田における水田植生の現状を明らかにし、4地域を比較して兵庫県における調整水田植生の地域性をもたらす要因を検討することを目的としました。

昨年までに調査を行った但馬・北摂・淡路島地域の調整水田植生の群落を比較した結果、北中部の但馬・北摂地域は、ガマ−ウスゲチョウジタデ群落、アシカキ群落、オモダカ群落などが特徴的に見られ、多くの群落には絶滅危惧種が含まれていました。対して、南部の淡路島地域は、アゼナ群落、ホソバヒメミソハギ群落などが見られましたが、群落の多くは外来種で構成され、出現種が非常に少なく、絶滅危惧種の出現は0種と、種多様性が非常に低い単純な群落であることがわかりました。兵庫県の調整水田植生は、地域の気候や耕作スタイルに影響されると思われます。

今年の夏は、残りの西播磨地域で調査を実施し、さらに研究を深めたいと考えています。

調整水田
調整水田
水田植物
水田植物
 
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