環境に関する教育研究とトピックス

環境に関する教育

価値創造学生プロジェクト

バリュースクール長 玉置 久

神戸大学バリュースクールでは、学生が主体的に価値について問いを立て、社会に出て仮説を検証することをサポートする「価値創造学生プロジェクト」という仕組みを設けています。ここでは、2022年度に学生が取り組んだ「環境にやさしい野菜を広めようプロジェクト」と「廃棄予定のお菓子を用いたフードロス削減プロジェクト」という2つの環境に関する価値創造学生プロジェクトをご紹介します。

環境にやさしい野菜を広めようプロジェクト

農学部、経営学部、国際文化学研究科の学生4名が、有機野菜にはどのような価値があるのかを調査しました。有機野菜の販売をしているJAを訪問して、有機野菜にどのような価値があると考えているのか、どのような人たちが有機野菜を購入しているのかをインタビューしたり、有機野菜の生産・加工をしている企業を視察し、なぜ有機野菜にこだわっているのか、現在どのような問題に直面しているのかについて聞き取り調査をしました。その結果、販売者と生産・加工者の間で有機野菜に対する認識や価値観に相違があることが分かってきました。そこで、両者が認識や価値観を共有することと、生産・加工者の認識や価値観を消費者へ直接伝えることに挑戦しました。特に後者については、市民参加型フェスティバル「078KOBE」に有機野菜の加工品を出展して、実際に生産・加工者が大切にしていることを消費者へ伝えることに取り組みました。一般的に有機野菜にあまり興味を示さないとされている若年層に対して、有機野菜の価値を伝えることができました。

廃棄予定のお菓子を用いたフードロス削減プロジェクト

経営学部、法学部、理学部、農学部の学生4名が、賞味期限が近づいて廃棄される食品に着目し、フードロスの問題に取り組みました。消費者は賞味期限が切れている食品に対して抵抗感があるのかを調査するために、500円の賞味期限が切れていないお菓子の詰め合わせと300円の賞味期限から1か月経っているお菓子の詰め合わせを並べて、どちらを購入しようとするのかを観察しました。その結果、賞味期限から1か月経っているお菓子の詰め合わせのほうを購入する傾向があり、多くの消費者は賞味期限が切れているお菓子にも価値があると考えているようでした。また、フードロスの問題に取り組んでいる方々と議論する中で、消費者には見えていない様々な課題があることも知り、さらにフードロス削減によって生まれる価値について考える機会となりました。

聞き取り調査をしている様子
(カウンターの中にいるのが学生)
出典:日本食料新聞社
日本食料新聞2022.10.07 12478号 10面より写真引用
078KOBEにて廃棄予定のお菓子の価値を検証する様子