法学研究科 教授 島村 健
脱炭素社会を実現するためには、再エネ・省エネに関する技術革新なども必要ですが、社会制度の再構築も必要不可欠です。神戸大学法学研究科・法学部と経済学研究科・経済学部は、法学・経済学の両方の素養を身につけられるようにデザインされた小人数教育中心のプログラムを展開し、法学・経済学双方の知識と見方とを武器にしながら、環境問題を含む社会的問題を解決する力を有する人材育成のための体系的教育を行なってきました。このような「法経連携専門教育プログラム(ELS)」の一環として、2020年度前期から、地球環境戦略研究機関(IGES)関西研究センター(https://www.iges.or.jp/jp/about/research-units/kansai-research-centre)とともに、「脱炭素社会」の構築をテーマに掲げた小人数の演習形式の授業を展開しています。
この授業の特徴としては、第1に、IGES所属の研究者2名と法学研究科・経済学研究科の教員がチームを作り協働して授業を実施していること、第2に、気候変動対策などを専門とする様々な分野の研究者や、再生可能エネルギーの導入に取り組んでいる企業やNPOの方々に参加していただき、学生との双方向的なワークショップを授業の中で行っていること、第3に、履修者が、この授業において学んだことを踏まえて、脱炭素社会構築のための提言を行うこと、などを挙げることができます。2021年2月には、神戸大学が2050年にカーボンニュートラルを達成することを目指すため、教職員のみならず、学生が主体的に議論し活動するための場として「神戸大学環境会議」を設置することを提言し、それが実現しました(写真1。http://www.sdgs.kobe-u.ac.jp/も参照)。
第4に、この授業は、再生可能エネルギー導入の現場などを視察し、社会的な実践を、現場で学ぶことを重要なパーツとしています。あいにく、2020年度は、新型コロナウイルス感染対策の観点から、学外視察を実施できませんでしたが、緊急事態宣言が解除された2021年6月23日、念願の学外視察・第1弾を実施することができ、東播磨地域のため池を利用したソーラー発電を現地で見学するとともに、発電事業者、東播磨県民局、農学研究科の東播磨フィールド・ステーション(http://www.lab.kobe-u.ac.jp/ans-eharima/)の方々と意見交換することができました(写真2)。
このような実践的な学びの場を設けてくださったIGES関西研究センターの前田利蔵先生、田中勇伍先生に、この場を借りて心より御礼申し上げます。