環境に関する教育研究とトピックス

環境に関する研究/保全活動

自然共生サイト「 神戸の里山林・棚田・ため池 」 における生物モニタリング

人間発達環境学研究科 教授 源 利文

現代は地球史上6回目の大量絶滅期であるとも言われ、生物多様性の減少は世界中で大きな問題となっています。この問題に対応するため、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されました。この中で地球上の生物多様性の状態を喪失の方向から改善の方向に向けるネイチャーポジティブと呼ばれる状態を2030年までに達成することが目標とされ、締約国は陸と海のほぼ30%を自然保護区などとすることが求められています。日本でもこのような取り組みの一環として、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として登録する取り組みが開始され、その中の一つに神戸市北区の「神戸の里山林・棚田・ため池」が選ばれました。

生物モニタリングの様子
生物モニタリングの様子

人間発達環境学研究科や農学研究科のメンバーが参加する研究グループではこのサイトにおける生物モニタリングを通じて、同サイトの登録のサポートを行ってきました。また、登録後には保全に資するための研究を継続して行っています。これまでに、同サイトにキキョウ、ベニイトトンボ、セトウチサンショウウオなどレッドリストに掲載されるような希少な動植物が生息することなどを明らかにしました。2023年度は、神戸大学の持つ環境DNA分析技術を利用して、セトウチサンショウウオの有効な繁殖地の環境条件などに関する研究を行っています。これらの研究の成果は同サイトを管理する神戸市とも共有され、その保全に役立っています。

セトウチサンショウウオ(2024年1月撮影)
セトウチサンショウウオ(2024年1月撮影)
関連情報:

源研究室のWebページ:http://www2.kobe-u.ac.jp/~minamoto/

神戸大学xSDGs「環境DNAを用いた生物調査」:https://www.sdgs.kobe-u.ac.jp/project15.html