環境に関するトピックス

廃棄物の発生抑制に取り組む神大発「ごみじゃぱん」の誕生から継承へ

経済学研究科 特命講師 小島 理沙(ごみじゃぱん 理事)

経済学研究科の石川雅紀教授と筆者が2006年に発足したNPO法人ごみじゃぱんは、石川ゼミの学生を中心に、廃棄物の発生抑制、とりわけ容器包装廃棄物の削減を目的とした活動を行ってきました。2016年度からは食品ロスの課題にも取り組んでいます。2018年度は、代表理事を務めていた石川教授が神戸大学を退職する年度となり、神戸大学で13年間行ってきた活動を振り返る資料作りを実施してきました。現役の学生が卒業生や関係者へ取材を行い、活動の意義や成果を分析しました。グッドデザイン賞を皮切りとする3R関連の様々な賞をいただき、社会的な活動として一定の評価をいただいてきた13年間の活動記録や評価は、膨大な作業となり未だ完成はしておりませんが、書籍化も検討しています。

ここ数年、食品ロスやプラスチック製容器包装廃棄物の課題が浮き彫りとなり、国会だけでなく、ダボス会議やG20で取り上げられるなど、ごみじゃぱんが活動を始めて以来、最も大きな社会的話題となっています。そういった背景から、原稿や講演依頼が増加しています。これまでも講演等では一般の皆様から温かい応援メッセージを沢山頂戴してきました。そういったお声をいただく度に、ごみじゃぱんの活動をこれからも継続していく必要性を感じ、学生活動については、筆者がクロスアポイント契約をしている京都経済短期大学に、研究活動は主に神戸大学で行う形で継続していくことになりました。京都経済短期大学の学生に神戸大学の学生が築きあげてきた活動のノウハウを移植・継承することで、ごみじゃぱんの活動の根幹となる容器包装廃棄物の推奨やイベント広報活動などを引き継ぐことができました。研究活動については、筆者がメインとなって食品ロスや容器包装廃棄物の発生抑制に関する学術的な論文をジャーナルに投稿し続けることで、研究活動をさらに深めています。

長年にわたり環境問題に実践的に取り組まれてきた石川雅紀先生の最終講義が2019年2月15日に出光佐三六甲台記念講堂で実施され、ごみじゃぱんの活動を行ってきた卒業生が全国各地から駆け付けただけでなく、行政やメーカー、業界団体の方々などお世話になった多くの皆様にご来学いただきました。神戸大学の中から発生した廃棄物の発生抑制の実践的活動は、大きな広がりと、社会に影響をもつ様々な方の賛同に支えられてここまでくることができました。これからも研究や活動を続けていくことで、少しでも廃棄物の発生を抑制し、日本や世界の環境保全に努めてまいります。

神戸大学で誕生したごみじゃぱんは学生が主体的に動き、産官学民全ての方々に支えられてきました。