環境に関する保全活動

総合病院における再エネを利用した熱源リニューアルの事業化計画策定

工学研究科 准教授 竹林 英樹
学術・産業イノベーション創造本部 特定プロジェクト研究員 長廣 剛

環境省の平成30年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業)の採択を受けて、神戸大学付属病院の再生可能エネルギーを活用した熱源リニューアルの事業化計画の策定を検討しました。具体的に次の項目を検討しました。(1)対象建物の調査(消費特性・既存設備・運用状態)、(2)地中熱(地下水)・太陽熱に関する調査、(3)再エネ利用型熱源システムの計画、(4)システム導入の効果分析、(5)事業化計画の策定。

地中熱(地下水)・太陽熱利用システムとガスエンジン式コージェネレーションをサーマルグリッド型熱導管で接続した面的熱融通システムに既存設備を接続し、地区全体のエネルギーマネージメントを実施することで、CO2排出量は6,047t-CO2/年、約23.6%削減されると試算されました。コージェネレーションにより発電時の排熱を冷暖房に有効利用できること、中間期などの低負荷時の冷熱を井水熱により供給できること、太陽熱パネルにより年間の約半分の時間の温水を供給できること、などが低炭素化の要因になると考察されました。

事業化計画としては、神戸大学が主体として実施する従来方式を基準として、設備投資を事業者が負担する場合と大学が負担する場合、事業者がシステムの運用に積極的に関与する場合、などを想定したESCO方式、ESP方式が比較され、大学としての今後の取り組み方針決定への基礎資料が整備されました。なお、補助金を最大限活用できた場合は、従来の熱源更新の初期投資(約18憶円)から約8億円程度の縮減がのぞめ、ランニングコストも1億円/年程度縮減されると試算されました。

「再生可能エネルギー(井水熱・太陽熱)を利用した面的熱融通システム」