福田秀樹神戸大学長

2011年1月4日 本部事務局大会議室

新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、新たな素晴らしいお正月を迎えられたことと存じます。

さて、昨年から国立大学法人においては、第二期中期目標・中期計画がスタートしておりますが、 神戸大学では「神戸大学ビジョン2015」に掲げた「グローバル・エクセレンス」の実現を目指すため、 教育、研究、社会貢献、大学経営の各分野において「チャレンジフェーズ (挑戦するフェーズ)」 の期間に入っております。

神戸大学における最近の1年間での主な活動や出来事を取り挙げてみますと、 教育研究分野では、次世代スーパーコンピュータをベースとした計算科学などに関する教育研究ならびに人材育成を目的とした 「システム情報学研究科」が昨年4月にスタートしました。

そして、2008年度ノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生が4月の入学式に新入生を対象に、 さらに、10月には2009年度ノーベル経済学賞を受賞されたオリバー・E・ウィリアムソン教授が社会科学を学ぶ学生を対象に、 それぞれご講演を頂き、未来輝く学生たちに熱いメッセージを送っていただきました。

国際化の取り組みとしては、ヨーロッパの諸大学・研究機関との国際連携による教育研究の推進を目的として、 昨年9月に神戸大学のブリュッセルオフィスを開設しました。この機会に、 ヘルマン・ヴァン・ロンプイEU大統領を表敬訪問した折、大統領から神戸大学のベルギー事務所での活動に対してエールをいただきました。

一方、「海外同窓会ネットワーク構築事業」を展開するために、この1月にタイ・バンコクにて 「グローバルリンク・フォーラムin バンコク」を開催いたします。さらに、3月には、ベルギー・ブリュッセルにて、 神戸大学主催の国際シンポジウムを開催いたしますが、ロンプイ大統領の基調講演も予定しております。  

また、グローバルな研究者育成を目的とした若手教員の「長期派遣制度」も計画的に順調に推移し、 既に23名もの教員が海外に留学あるいは留学予定となっております。

施設・インフラ面における整備では、ポートアイランドにある理化学研究所の 「次世代スーパーコンピュータ、 名称: (京)」の設置場所に隣接したエリアに、産学官連携を目的とした全学の 「統合研究拠点」及び国際コンベンションホールを建設中で、 8つのプロジェクトチームが入居する「統合研究拠点」は3月に、 約350人収容規模の「コンベンションホール」は12月に開設予定です。 そして、楠地区に予定の「保育所」も7月に開設予定です。 

その他、長年の懸案事項でもあった学生寮などの住環境の整備計画も策定しており、 国維寮については既に改修計画を実施しつつあります。さらに、 教員の研究活動への精励や会議の見直しを行い、教育研究評議会における構成人数の縮減や「将来計画委員会」 の廃止も決定いたしました。

大学経営分野でのトピックスとしては、医学部附属病院における医業収益の改善、経費抑制など長年にわたる抜本的な改善により、 大幅な純利益を得る見通しとなったことは特筆できます。

以上述べましたように、昨年、神戸大学においては、 いくつかの挑戦的な活動も実施し成果も見られるようになってきました。しかしながら、 グローバル化時代において競争力を高め世界トップクラスの大学を目指すためには、 様々な課題を克服しなければなりません。そのためには、「世界で活躍できる人材の育成」を行うと同時に 「世界から優秀な人材を招へいし確保する」ことが何よりも重要なことと考えております。

今後も、「グローバル・エクセレンス」の実現を目指して神戸大学の改革に取り組む所存です。 新年を迎えるに当たって、皆様のご協力をお願いする次第です。

神戸大学長 福田秀樹