神戸大学学長・工学者 福田秀樹

神戸大学は、阪神・淡路大震災で多くの学生、職員を失うとともに、建造物などに甚大な被害を受けました。この時、全国からのご支援を得て様々な施策を行い、成功や失敗の試行錯誤を繰り返しながら復旧・復興を果たしてきた経験を持っています。

これを思い起こし、短期的には生活物資の提供のほか、災害医療チームや放射線分析・復旧工事技術者、学生ボランティアの派遣、さらには被災地学生や大型実験設備の受け入れなど、できるところから大学としての支援を行っています。

しかしながら、被害の甚大さを考慮すると、本震災の完全復興には長期にわたる支援や復興研究の取り組みが必要です。

本学は阪神・淡路大震災直後に、中長期的な課題として安全・安心な社会の構築を目指す仕組みや手法の研究を推進するため、「防災」と「減災」に立脚した「都市安全研究センター」を設置致しました。本センターで培ってきた"知"や"経験"、人的なネットワークを生かし、総合的な復興計画への提言や実行支援を、全学プロジェクトにより推進するつもりです。

(5月11日付 産経新聞夕刊)