国立大学法人神戸大学大学院医学系研究科 医療創成工学専攻医療機器学講座(非常勤講師・客員教授:田中雄悟、特命教授:保多隆裕)は、ウェトラブ株式会社(本社:滋賀県大津市、代表取締役社長:岡野仁夫)との共同研究により、開胸手技トレーニングに用いる胸壁モデルを開発し、発売が開始されたことをお知らせします。本胸壁モデルは簡便さとリアルさを追求した世界初の開胸手技トレーニング用モデルであり、昨今のロボット手術や胸腔鏡手術などの低侵襲手術が主流となった呼吸器外科領域において、特に開胸手術経験の乏しい若手医師に貴重なトレーニングの機会を提供し、医療の質および安全性を高めます。


ポイント
- 世界初の開胸手技トレーニング用胸壁モデル
- 低侵襲時代こその開胸手技トレーニングの必要性
開発の背景
ロボット手術や胸腔鏡手術など呼吸器外科領域においても低侵襲手術は進化を遂げており、高度な技術を習得することは重要な課題です。
一方で薬物療法の進歩により、局所進行肺癌やサルベージ手術の機会が増加しており、浸潤が強い症例や出血時の対応など、呼吸器外科手術において開胸手技は欠かせない基本手技です。
しかしながら、この低侵襲時代の医療においては、若手外科医が開胸手術を行う機会は非常に限られており、開胸手技の習得が全国共通の課題となっています。胸壁は筋層や筋膜が何層にも重なる複雑な構造を呈しており、教科書のみでの習得は困難です。一方でご献体を用いたCadaver Surgical Training(CST)は有効な教育法ですが、その実施頻度には限界があります。
そこで、立体モデルを用いたトレーニングが重要と考え、胸壁トレーニング用モデルを考案・作成しました。同モデルは合成樹脂の一種であるポリビニールアルコールを用い、筋肉や皮下組織の硬さ・強度・弾力性など、人体に近い体感・感触に加工されています。また、電気メス・エネルギーデバイス使用時の有害物質発生が無く、場所を問わず実臨床に近い開胸手技トレーニングが可能です。加えて、皮膚、皮下組織をはじめ、広背筋、前鋸筋、菱形筋、僧帽筋や筋膜組織などを立体的に再現しており、高位後側方切開から前側方切開までのトレーニングが可能です。
今後の展開
手術用医療機器メーカーと連携し、若手外科医に実践的な開胸手技トレーニングの機会を提供し、医療の質および安全性の向上に貢献します。
共同研究体制
神戸大学大学院医学系研究科 医療創成工学専攻医療機器学講座
非常勤講師・客員教授 田中雄悟(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野 教授)
特命教授 保多隆裕
大学院生(博士前期課程)重信眞理
ウェトラブ株式会社
代表取締役社長 岡野仁夫
謝辞
本開発を遂行するにあたり、鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野 藤原和歌子特任助教より、多大なるご支援を賜りました。
本プロジェクトは、神戸市と協働した内閣府地方大学・地域産業創生交付金事業「神戸未来医療構想」の支援を受けて実施されました。
報道問い合わせ先
神戸大学企画部広報課
E-Mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp(※ [at] を @ に変更してください)

