脳の中でも、神経線維の束である「白質」は加齢の影響を特に受けやすい場所です。
群馬大学大学院食健康科学研究科 大西浩史教授、同保健学研究科 尾池恵摘(大学院生)らの研究グループは、神戸大学、島根大学、群馬パース大学との共同研究により、脳の免疫細胞「ミクログリア」が持つ分子「SIRPα(サープ・アルファ)」が、この白質で起こる老化反応を抑える“ブレーキ”として働いていることを、マウスを用いた研究で明らかにしました。本成果は、白質老化の理解に新たな手がかりを与えるものです。
遺伝子を操作して、この“ブレーキ”をなくしたマウスでは、生後約半年の若さでも、白質の状態が約2歳の高齢マウスとよく似た“老化モード”になりました。変化はミクログリアから周囲のアストロサイトへと広がり、白質の中でも特定の場所で特に強く現れました。このマウスが高齢になると、自然な老化変化の上にこの老化反応がさらに上乗せされました。一方で、高齢になっても髄鞘の目立った減少は認められず、運動機能(白質機能が一部関与)はむしろ同年齢の対照マウスより保たれていました。ブレーキが外れると白質は“老化モード”に傾きますが、それが脳を守る反応なのか、脳の機能低下につながるのかは、今後の課題となります。本研究成果は、2026年10月14日、国際学術誌『Journal of Neuroinflammation』オンライン版に掲載されました。

論文情報
タイトル
"Microglial SIRPα loss promotes and accelerates aging-associated glial activation in white matter"
DOI
10. 1186/s12974-026-04053-1
著者
Etsumi Oike, Mizuki Ueda, Shunya Hanzawa, Yuka Moriya, Yuka Nakamaru, Takeshi Imai, Rui Mizutani, Daisuke Yokota, Asuka Tomiyama, Takuro Honzawa, Eriko Urano, Eiko Matsumoto, Yoji Murata, Takenori Kotani, Yasuyuki Saito, Yuriko Hayashi, Hiroshi Ohnishi*(*責任著者)
研究責任者
大西 浩史(群馬大学 教授)
掲載誌
Journal of Neuroinflammation(オープンアクセス誌、Springer Nature社)
報道問い合わせ先
神戸大学企画部広報課
E-Mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp(※ [at] を @ に変更してください)



