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【挨拶】ひとりひとりが輝く神戸大学 ― 知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点を目指して ―

2023年01月05日

皆さま、あけましておめでとうございます。

今年は3が日、天候にも恵まれ、皆様方におかれましては穏やかな良き新年をお迎えになられたことと存じます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

丸3年にわたるコロナ禍が続く中ではありますが、学内、幸い大きな問題もなく新しい年を迎えることができました。これもひとえに教職員の方々のご支援とご尽力のおかげであり、心より感謝申し上げます。

昨年末、神戸大学120周年記念式典を開催させて頂きましたが、WEBを含め800名近い多数の方々にご参加頂き、盛会のうちに無事終了することができました。改めまして、式典の準備等にご尽力頂きました多くの方々、そしてお忙しい中ご参加頂きました方々に心よりお礼申し上げます。また、120周年に際し、ご寄付を頂きました方々にこの場を借りて感謝申し上げます。今回、この120周年を機に、全てのステークホルダーの方々が大学への愛着、誇りを持ち大学の発展に向けて全学一丸となれる神戸大学校友会(KU Alumni)を昨年末の式典の際に設立することができました。これもひとえに皆様方のご協力のおかげと存じます。今後、大学としてこの校友会の活動と連携し、さらに結束を固め、知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点を目指し、科学技術の発展を目指し長期的な視野に立った多様な基礎科学研究創発の促進や社会実装につながる応用科学研究力の強化、博士課程をはじめとする若手研究者の支援、研究環境の整備、産官学連携を基盤にした大学の自律的経営の確立などに邁進して参ります。

ご存じの通り、昨年4月から第4期中期目標・中期計画期間が始まりました。各部局におかれましては、コロナ禍に加えてウクライナ紛争による電気代の高騰など研究教育活動にさまざま影響をうけながらも多大なるご尽力を頂き、感謝申し上げます。第4期、神戸大学はグループ⑤(主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して、全学的に卓越した教育研究、社会実装を推進する取組を中核とする国立大学)に属し、北大、東京農工大、千葉大、岡山大、広島大、金沢大と同じ枠組みで、北大を除き同じような規模の大学との競争となっています。昨年末の通達では、R5年度運営費交付金は、総額10,784億円で総額としては2億円減ですが、特殊要因を除く基幹運営費交付金は実質4億円プラスとなりました。一方で、ミッション実現戦略分は、R4と同額の4.8億円、共通指標による傾斜配分は継続され、前年度と同じ1,000億円となります。本学の運営費交付金は、係数分1.6%減で約2.5億円が削減されます。共通指標による傾斜配分については、昨年度、部局の指標の評価によってそれぞれに配分しましたが、今年度の国からの共通指標による本学への配分額は昨年度の約半分の6,800万円となっています。特に、研究業績における低迷が配分額に影響しており、より一層の努力が必要です。教育研究組織改革分では、昨年度からのDX推進拠点、未来医工学研究開発センター、国際膜研究拠点の3事業に加えて先端バイオ工学研究センター、先端脱炭素技術を集約・社会実装する産学連携拠点の2事業が新たに採択されました。基盤的設備等整備分では、先端バイオ工学研究センター、昨年全学センターとなった次世代光散乱イメージング科学研究センターが採択されました。皆さんもご存じの通り、第4期ではほぼすべての中期目標、中期計画にKPIが設定されており、各部局、センターにその達成に向けてお願いしているところです。KPI指標達成に向けた取り組みは、決して部局、センターを締め付けるものではなくあくまで大学間競争の中で神戸大学として教育研究活動の向上に向け少しでも多くの財源を確保し、部局に還元していくための対策であり、KPIはそれぞれの部局活性化につながる指標として捉えてしっかりと対応して頂きますようよろしくお願いいたします。また、KPIに含まれる指標の一部は、さまざま全学的な助成金獲得においても評価の対象ともなるため不断の努力が必要です。実際のこの評価によって上位校に30億円の法人運営活性化支援分が分配されており、今年も、第3期にはなかった配分、約9,000万円が獲得できています。引き続き第5期に向けた大学の継続的発展ためにもご協力をよろしくお願いします。

大学への国からの財源は、限られています。先の運営交付金に加えて科学研究費、共同研究費、助成金、寄付金などの外部資金をしっかりと獲得していくことが、これからの大学運営において最も重要です。自らが研究費を外部から獲得するという強い気持ちをもって教育研究を活性化していくことが大事です。外部資金の獲得は、新事業の創出や事業の継続には必須であり、大学における財の循環の源泉です。そして、大学の発展には、みんなで一丸になって協力し、変わっていくという精神が大切です。神戸大学の外部資金は、現在、運営費交付金の約70%程度、140億円(コロナ補助金を除く)であり、これらをもって大学を運営しています。上位校は、運営費交付金に対する外部資金の比率はもっと高く、神戸大学としても第4期終了時には160億円を目標にしており、ご協力をよろしくお願いします。

皆さんも耳にされている国の10兆円ファンド構想の件ですが、それを活用できる国際卓越研究大学については、本学でも検討しています。ただ、申請基準のハードルは高く、10%論文など研究業績においては、なんとかクリアできるのではないかと思いますが、民間からの研究資金の受け入れ、事業財務戦略(年平均3%程度の事業規模の成長率)、財政基盤(寄付金等の外部資金が大学の収入全体の20%程度以上)など、神戸大学にとっては非常に厳しい条件であり、今後の状況を見て考えていきたいと思います。一方で、昨年末、本学は、トップレベルの教育研究の展開を目指す大学として国立大学経営改革促進事業(4年間)に採択されています。さらに、今年、地域中核大学に対しては、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの枠組みで様々なR4年度補正予算ならびにR5年度の概算要求が示されており、大学として研究教育事業に向けての予算確保をしっかりとしないといけません。是非、部局に置かれましても補正予算、概算要求事業に目を通していただき、全学、部局一丸となって取り組んでいきたいと思います。

さて、教育研究活動において大学としてこれから取り組むべき課題はたくさんありますが、まずは、次世代を支える優秀な若手教員が、研究に専念できるような環境を引き続き整えていきたいと思います。現在、開始している若手の研究者の雇用支援制度や優秀な若手教員が輝く卓越教員制度を継続して参ります。今後、さらに女性の教員雇用支援も進め、全学における若手や女性の研究者の活躍を応援したいと思います

また、新たなアイデアを活かし、異分野共創研究を推進し、新領域を創出することに注力し、学内の研究資源の有効活用し異分野共創により相乗効果を高めて神戸大学の新たな強みを作り出す研究を支援し、将来的に世界的なフラッグシップとなる卓越研究を育てていきたいと思っています。また、基盤的な研究機能の強化や世界トップレベル研究拠点の形成支援、また、産官学連携を推進し、地元企業、自治体との連携を強め、共同研究・受託研究を推進したいと思います。ポートアイランドの医療産業都市地区ではバイオ工学、膜工学、医工学、健康科学、社会科学を中心としたデジタルバイオライフサイエンスリサーチパークを構築し、GXやウェルビーイングなど先端的異分野共創研究を推進する革新的技術基盤として発展させていきたいと思います。そのためには、地元神戸市、兵庫県との太いパイプラインのさらなる構築が必須です。また、若手研究者や学生等の起業家精神を養うために、起業部やアントレプレナーシップセンターを充実させ、若い人たちのチャレンジを応援したいと思います。今年1月には、民間資金100%の神戸大学ファンド(KUC)が設立され、その資金を活用し、知を価値化する大学発スタートアップの創出を加速化、支援したいと思います。

部局での教育は、ほぼ対面授業となりましたが、このまま感染状況が改善することを切に願っています。4つのキャンパスを抱える神戸大学においては、新型コロナが終息してもオンラインやハイブリッドの有用性を活用し、学生にとって利便性の良い、時空間を超えた、質の高い教育体制の構築が重要であると思います。また、優秀な博士人材の育成支援としての大学フェローシップ制度、次世代研究者挑戦的研究プログラム、テニュアトラック制度など若手研究者の育成に向けた取り組みに注力し、大学として継続的に支援をしていきたいと思います。今後さらに、修士課程から博士課程に進学する学生に修士からの経済的支援を行い、博士課程への進学を促し、5年間研究に専念できる環境を与え短期的ではなく長期的な視野に立って創造的な研究開発ができる優秀な人材を選抜・育成していく体制を作りたいと思います。将来的には、高大接続も含めた、神戸大学として特色のある一貫した卓越教育プログラムによる研究者育成制度の構築を考えています。また、大学としても博士課程教育においてタコつぼに陥らないよう多様性のある異分野共創教育を行い、様々な局面において柔軟性をもって身につけた専門的な研究能力、課題解決能力を生かせるトランスファラブルスキルを涵養していくべきです。2017年に設置された数理・データサイエンスセンターは、着実に発展してきており体制をさらに強化し、デジタル社会へ適応できる多様な能力を備えた人材を育成するためも全学的機能をさらに充実させて参ります。一方で、この1月にリカレント教育推進室を設置し、AI・デジタル社会における社会構造の変化に対応し全学的にリカレント教育を推進し、大学としての使命を果たしていかねばなりません。また、時代を見据え社会に求められる優秀な実践的人材を育成し、社会に貢献できる研究大学へと進化するために大学連携、大学院改革、新教育領域の創出は必須と考えており、積極的に改革を進めて参ります。今年、医学工学領域の共創研究教育のための医療創成工学専攻設置やシステム情報学研究科の改組を予定しており、大学として新たな取り組みを支援して参ります。また、コロナで低迷している国際教育交流を推進し、グローバルキャンパスの充実を目指していきたいと思います。

大学の運営体制においては、今後も大学のビジョンの明確化と実現に向けた一貫性あるPDCAマネジメントサイクルの強化、そして執行部ガバナンス体制と経営戦略に役立つIR体制の強化、DXの推進に注力いたします。経営体制については、教員や事務組織のみから経営陣を育成し、構成するだけは今の国立大学経営を効率的に行うことは難しくなりつつあると考えています。様々な分野から多様な卓越専門人材を招聘し、競争的環境の中で活力に富み個性豊かな魅力ある大学をつくり、自らの裁量で戦略的長期的に財の循環を拡大する仕組みを強化し、安定した経営を確立して自律的に発展し、社会変革の駆動力として成長し続ける大学にならないといけません。そのためには、人材登用におけるダイバーシティを確保しながら大学の成長分野や教育研究基盤を支える人への投資を積極的に行うべきです。人への投資、人件費はコストともとれますが、人は育てれば大学の大きな資産となり、大きな産物を生み出すエネルギーともなります。さらに、教育・研究支援体制、産学連携体制、知財戦略体制も重要であり、UEA、URAなど、教育・研究を支える専門的人材の育成体制とキャリアアップの整備、拡充に取り組みます。また、政策研究支援部や事務組織においては、部署連携の強化、中長期の視点に基づいた人と環境づくりを第一に考え、体系的な人事戦略と見直しを進めたいと思っています。頑張る人が自由に力を発揮できる組織にしたいと思います。

さらに、これからの大学においては、少しでも自由な資金を増やすために資金運用のポートフォリオのさらなる多様化を考えて参ります。昨年度、本学は、資金の委託運用を開始し、信用格付け(R&I AA+、JCR AAA:東大と同じ格付け)も取得しました。今後、大学独自の大型の教育・研究事業を推進していくために、大学債の発行も財務リスクを考慮しながら視野に入れ、より自由度の高い資金調達を行い、大学の競争力強化に取り組んでいく時期が来ていると思っています。

最後に、神戸大学は知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点を目指しています。KU VISION 2030を皆さんと共有し、神戸大学のさらなる発展に向け産官学連携をさらに強化し研究教育活動を活性化するために教職協働で一丸となってオール神戸大学で頑張っていきたいと思います。大学経営は、ますます難しい状況となっていますが、学問の府として自由な教育研究環境をしっかり確保したうえで、様々な新しい経営改革を地道に推進し、自らの成長を加速し、地域に根ざし、世界に誇れる研究大学として発展して参ります。

神戸大学の発展のために今年も皆様方のご支援・ご協力をよろしくお願いします。


令和5年1月5日
神戸大学長 藤澤 正人