- 受賞者
- 海事科学研究科・博士課程後期課程3年 廣江葵
海事科学研究科・准教授 長松隆 - 受賞日
- 2022年3月4日
- 受賞名
- 第二十二回 ヒューマンインタフェース学会 論文賞
- 業績名
- 眼球の光軸周辺の顕著性マップを用いた視線計測装置のインプリシットキャリブレーション手法
概要
ヒューマンインタフェース学会論文賞は、「ヒューマンインタフェース学会論文誌」に最近2年間に公表された学術・技術に寄与するところの大きい論文の著者に贈呈する名誉ある賞です。
受賞の対象となった論文は、視線計測装置の利用時に、ユーザごとに必要な事前の校正作業(キャリブレーション)を、ユーザに意識させずに実施する手法を提案したものです。
角膜を球面とモデル化して眼球の幾何学的な中心軸(光軸)を求める手法は存在していましたが、光軸は実際にユーザが見ている視線とはずれているため、ユーザに意図的に1点を注視してもらうキャリブレーションが必要でした。本研究では、この最後に残った1点を見るというキャリブレーションをユーザに意識させずに実施する手法を提案したものです。具体的には、ディスプレイ上で光軸の近くで目の注意を引きやすいものを最新の機械学習の技術を利用して推定して、そこを見ているものとしてキャリブレーションを行うものです。論文には、計算を安定させる工夫、精度を向上させ工夫、動画を見ている場合でも適用できる工夫などについても述べられています。
将来は、博物館等で展示物(特に、手の届かない/触ってはいけないもの)とのインタラクション、レンタカーなど不特定多数が運転する乗り物でのドライバー状態の確認、店舗・自動販売機・広告等での注目度の解析、心理学の実験で被験者に意識させない計測、キャリブレーションが困難な子供や動物の視線計測への応用が期待できます。