広島大学大学院医系科学研究科の有井潤教授らの研究グループは、ヒトヘルペスウイルス6A(HHV-6A)が、人の細胞内の防御反応を利用して増殖しやすい環境をつくる仕組みを明らかにしました。HHV-6Aは、水ぼうそうや帯状疱疹の原因ウイルスと同じ仲間です。
HHV-6Aは感染初期に、U14というタンパク質を細胞内へ持ち込みます。U14は、 免疫や炎症に関係する遺伝子を働かせるタンパク質NF-κBを一時的に活性化し、ウイルス遺伝子の発現を促します。しかし、この反応が長引くと、過剰な防御反応やDNA損傷反応によって感染細胞に負担がかかります。
そこで、人の細胞が持つタンパク質PDLIM2が、NF-κBの活動を弱めるとともにU14を分解し、感染細胞が傷つくのを抑えます。細胞内でPDLIM2が作られる量を減らすと、NF-κBの活性化と核内U14の蓄積が続き、感染細胞の生存率と細胞外へ放出されるウイルス量が低下しました。PDLIM2が感染細胞を守ることが、結果としてウイルスの増殖も支えていることを示す成果です。
本研究は、広島大学、神戸大学、岐阜薬科大学の共同研究として実施され、国際学術誌『PLOS Pathogens』に掲載されました(2026年9月23日掲載 )。

論文情報
タイトル
DOI
10.1371/journal.ppat.1014576
著者
Khoir Amaliin, Mansaku Hirai, Salma Aktar, Tetsuo Koshizuka,Yasuko Mori, Jun Arii*
* 責任著者
掲載誌
PLOS Pathogens
報道問い合わせ先
神戸大学企画部広報課
E-Mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp(※ [at] を @ に変更してください)



