この度、公益財団法人大阪産業局が実施する事業支援プログラム「起動」(第2期) に、理学研究科の津田明彦准教授によるスタートアップ (2024年4月起業予定) が採択されました。

「起動」とは

公益財団法人大阪産業局では、大阪・関西万博に向けて世界が注目する成長分野でスタートアップを創出するため、関西圏の企業・大学・自治体のリソースを結集させたインキュベーションプログラム「起動」を実施しています。

2023年10月より、第2期採択事業の募集が開始され、182件の応募の中から、津田明彦准教授の事業取組が採択されました。

津田明彦准教授らによる「光オンデマンドケミカル株式会社」(仮称)

津田明彦准教授らは、下水・海水・空気を原料として、太陽光による光化学反応によって、安全・安価・簡単・コンパクト・低環境負荷で、高付加価値医薬品原薬・中間体を製造することができる世界唯一の化学品生産企業「光オンデマンドケミカル株式会社」を神戸で起業します。神戸大学・津田研究室で生まれた革新的な科学と技術を使って、バイオ由来原料と再生可能エネルギーから、CO2排出実質ゼロ、水素を副産、資源が循環するサスティナブルな化学品合成事業を展開します。産学官金コンソーシアムによる「光ものづくり拠点」を近畿地区に形成し、SDGsへの貢献を目指します。

概要

メタンは二酸化炭素の約25倍の地球温暖化係数を持ちます。気候変動に大きな寄与を持つ温室効果ガスであり、大気への放出削減が強く求められています。しかし、極めて安定な化合物であるため、それを高付加価値の化学品に変換することは難しく、主に燃料として用いられており、CO2の主たる排出減となっています。CO2を有用な化学品へ変換する研究が活発に行われている一方で、メタンからの化学品合成研究はほとんど進んでいません。津田明彦准教授の研究グループは、約15年の研究を経て、下水や家畜の糞尿から発生するバイオガスの主成分であるメタン、海水の電気分解で発生する塩素、空気に含まれる酸素を原料として、常温・常圧で、触媒を用いずに、光で医薬品原薬や中間体をつくることに世界で初めて成功しました (特許出願済)。

バイオガスとは、微生物の力 (メタン発酵) を使って、下水、生ごみ、紙ごみ、家畜ふん尿などから発生するガスであり、約50〜60%のメタン (燃えやすい気体) が含まれています。カーボンニュートラルの実現を目指して、それを発電や自動車の燃料などに利用する計画が自治体や企業などで進んでいます。津田准教授が起業する光オンデマンドケミカル社では、バイオガスを燃料として用いるのではなく、オリジナルの特許製法でそれを医薬品原料やポリマーなどの原料として用いて、バイオ由来の高付加価値化学品 (医薬品原薬・中間体、農薬原料、香料、食品添加物、粘着・接着剤、色素、ポリマーなど) の生産・開発・販売事業を行います。同社は、「光ものづくり」というこれまでにまったく前例のない新たな未来型エコ生産システムの創出を企て、SDGsへの貢献を目指します。

関連サイト

  • 起動HP
  • ※「起動」第2期採択では、津田明彦准教授の事業取組のほか、本学発ベンチャー「株式会社TearExo」の事業も採択されました。詳しくはこちらから。
  • PR TIMES

(総務部広報課)