7月25日、神戸大学鶴甲第一キャンパスで文化庁の都倉俊一長官が講演しました。国際人間科学部の専門科目「文化人類学」の受講者を対象に、4月に同研究科内に発足した国際文化学研究推進インスティテュートの記念講演として行われました。本学国際文化学研究科の招へい教授である、ミヒャエル・ライテラー元駐韓EU大使の仲介によって実現したものです。

外交官の家庭に生まれ幼少時代から海外で過ごした都倉長官は、冷戦時代の西ドイツ(当時)での異文化体験、海外生活を通じて見出した日本社会の特色、韓国をはじめとする各国の文化戦略などについて、山口百恵やピンク・レディーら多くの有名歌手のヒット曲を生んだ作曲家、さらには音楽創作者を束ねる国際団体の代表としてのエピソードも交えながら話されました。「大量生産・大量消費の時代が終わって、日本は高付加価値のモノを有する国にならなければならない」と訴え、「日本人は繊細さ、勤勉さ、英知を持っている。日本へあこがれ、日本に来たがっている外国人は多い。日本ブランドは世界に定着している」と日本文化の可能性についてグローバルな視点から説明されました。

後半では、ドイツ語も堪能な都倉長官とは30年以上のつきあいというライテラー教授と対談を行い、国際関係における文化(特にソフトパワー)の重要性、外国語学習がもたらす人との出会いなどについて話し合われました。その後、学生からいくつもの質問が出され、日本の文化予算や日本社会の多様化のあり方などについて話題が広がりました。都倉長官は文化庁の京都移転や今後の政策課題にも触れながら、一つ一つの質問に英語と日本語を交えてお話されました。

(国際人間科学部鶴甲第一キャンパス事務課総務係)