10月18日に第12回神戸大学ブリュッセルオフィスシンポジウム “Blue Economy, Green Horizons: EU-Japan Research for Healthy, Sustainable Seas and Oceans”をブリュッセル自由大学(蘭語系)(以下VUB)で開催しました。本シンポジウムは例年通りVUBとの共催で、昨年に引続きケント大学(英国)の協力を得て、3年ぶりにブリュッセルにて対面で開催されました。日EU政府関係者、研究者、学生、ジャーナリスト、ビジネスパーソンなど約130名が参加しました。

吉田健一国際連携推進機構ヨーロッパ・アフリカ部門長/ブリュッセルオフィス所長の司会の下、オープニングでは、藤澤正人学長、Jan Danckaert VUB学長、正木靖欧州連合日本政府特命全権大使、Signe Ratso 欧州委員会研究イノベーション総局長代行が挨拶し、広範な概念や研究対象を包含する海洋に関して、日欧間の協力を進める契機となることへの期待が示されました。また、2つの基調講演を設け、フランスの脚本家・映画監督であるMichael Pitiot氏及び元世界貿易機関(WTO)事務局長であるPascal Lamy氏がそれぞれ登壇しました。Pitiot氏は、様々な映像を用いて世界の海洋環境を示すと共に、一般社会に訴えかけるためのメディアの役割と手法について演説し、Lamy氏は、欧州委員会の研究助成事業であるHorizon Europeの5大ミッションの一つ、「健全な海洋・沿岸・内陸水域」のミッションボードのチェアとして、海洋環境を守るためには世界が協力する必要があることについて、大所高所から講演されました。

 

藤澤正人学長Jan Danckaert VUB学長正木靖欧州連合日本政府
特命全権大使
Signe Ratso 欧州委員会研究
イノベーション総局長代行

 

ブレイクアウトセッションでは、①ブルーエコノミー:貿易のグローバルな流れ、環境問題、海の統治、②未来の海:海洋・海事科学の進歩、新領域の技術、③海と技術そして社会:意識醸成、コミュニティの参画という3つのセッションに分かれ、最先端の研究成果、活動紹介、政策動向を発表するとともに、今後の協力を展望しました。午後にはセッション毎にさらなる議論を深めるため、同テーマでワークショップを開催し、各セッションで参加者が活発に意見交換、質疑応答を行いました。登壇者等の関係者による共同研究プロジェクトへの進展や組織間交流の発展が期待されます。

閉会では、中村保理事・副学長 、Jeremy Caretteケント大学ヨーロッパ部門長、Hugo Thienpont VUB副学長が挨拶し、今回のシンポジウムが多くの参加者を得て成功裡に終了したことに対する関係者への謝辞及び国際交流の重要性について言及され、日欧の研究者・学生交流の更なる拡大への期待が述べられました。 

本学は2010年に神戸大学ブリュッセルオフィスを設置して以来、同オフィスを欧州における教育研究拠点として、本シンポジウムをはじめとする様々な学術イベントの開催を通し、欧州でのプレゼンスの向上、共同研究の推進、学術交流協定の締結等につなげてきました。今回のシンポジウムは3年ぶりの対面での開催となりましたが、対人関係の構築のためには、現地に赴き直接対話を重ねることが重要であると再認識する機会となりました。

本学は、改革を続ける国際連携推進機構の主導により、今後も同オフィスを拠点として、日欧の教育・研究両面での協力強化を推進していきます。

 

 

(国際部国際企画課)