北野 重人 /神戸大学経済経営研究所 教授

2023年9月11日 神戸大学経済経営研究所地域共創研究推進センターおよび社会システムイノベーションセンター主催 公開シンポジウム「経営者保証改革とこれからの企業経営の在り方」が開催されました。

今日、日本では経営者保証に依存しない融資慣行にむかう動きが加速していますが、金融機関には今まで以上に事業性評価を行えるスキルが求められます。企業側としては、経営者保証が外れれば、事業承継が円滑になり、今までとは違った成長の選択肢をとることができるようになります。

 

家森 信善 /神戸大学経済経営研究所 教授、同地域共創研究推進センター長

そこで、本シンポジウムでは、金融機関や企業の方などもゲスト講師に招き、上記テーマに対して考察を行うために、相澤朋子さん (日本大学商学部 講師、神戸大学経済経営研究所 非常勤講師) による総合司会のもと、講演とパネルディスカッションを行いました。

 

石田 武裕/株式会社船井総合研究所 価値向上支援本部 財務支援部 マネージャー

最初に北野重人教授 (神戸大学経済経営研究所長) による挨拶がありました。続く第1部では、2名の方による基調講演が行われました。最初は家森信善教授 (神戸大学経済経営研究所 教授・同地域共創研究推進センター長) が「経営者保証改革の必要性」について、2番目に石田武裕さん (株式会社船井総合研究所 価値向上支援本部 財務支援部 マネージャー) が「経営者保証と企業経営」について講演を行いました。

左より日下 智晴 (神戸大学経済経営研究所 客員教授、日下企業経営相談所 代表、商工中金 社外取締役) 、横見 真一 (広島銀行 取締役常務執行役員) 、二宮 雅則 (愛媛銀行 審査第二部長)

第2部では、2つのパネルディスカッションが行われました。最初は日下智晴さん (神戸大学経済経営研究所 客員教授・日下企業経営相談所 代表・商工中金 社外取締役) の司会により、横見真一さん (広島銀行 取締役常務執行役員) 、二宮雅則さん (愛媛銀行 審査第二部長) らがパネリストとして参加し、「地域けん引企業を創出するための金融機関のあり方」をテーマに議論が行われました。地域の企業を支える側として、自行の「経営者保証に関するガイドライン」の取組状況や、経営者株式担保といった経営者保証に依存しない融資の取り組みについて紹介されました。

続いて竹内実門さん (株式会社船井総合研究所 財務支援部 マネージング・ディレクター) の司会により、佐々木由津子さん (バイオコミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 、嶋澤徹さん (株式会社嶋澤啓工務店 代表取締役) らがパネリストとして参加し、「地方企業の成長とファイナンス政策」をテーマに、議論が行われました。経営者保証解除までどのような軌跡をたどったのか、経営者保証の解除に踏み切ったターニングポイントや苦労した点など、それぞれの視点からのお話が紹介されました。

最後に、真貝大介さん (株式会社船井総合研究所 代表取締役社長 社長執行役員) から閉会の挨拶をいただきました。

左より竹内 実門 (株式会社船井総合研究所 財務支援部 マネージング・ディレクター) 、佐々木 由津子 (バイオコミュニケーションズ株式会社 代表取締役) 、嶋澤 徹 (株式会社嶋澤啓工務店 代表取締役)
真貝 大介 /株式会社船井総合研究所 代表取締役社長 社長執行役員

 シンポジウムはハイブリッド形式で行われ、出光佐三六甲台講堂に直接ご来場いただいた28名、Zoomウェビナーで参加された64名、計92名の企業・組織と個人の方にご参加いただきました。

参加者の皆様からは、「中小企業金融に関する産 (官) 学金の多方面からの意見が聞けたので大変有意義だった」「経営者側の視点から話を聞くことができ、大変共感した」といったご意見があり、これまでの経営者保証の問題点が浮き彫りになったシンポジウムでとても参考になったと高い評価の声をいただきました。

(経済経営研究所)