受賞者:
分子フォトサイエンス研究センター 立川貴士 教授
受賞日:
令和5年9月6日
受賞名:
第37回光化学協会賞
業績名:
単一粒子反応解析に基づく高効率光エネルギー変換系の構築
写真右:立川教授

概要

長年にわたって高い水準の研究業績を挙げることにより光化学に大きな貢献を果たした功績が認められ、立川教授が光化学協会(会員数1000名余)より第37回光化学協会賞を授与されました。

立川教授は単一分子・単一粒子レベルの反応イメージング技術を駆使し、光エネルギー変換機構の詳細を明らかにしました。また、得られた知見に基づき、高効率な光触媒系の開発に成功するなど、極めて重要な成果を長年にわたり挙げてきたことが高く評価されました。

太陽光エネルギーを有効活用する技術の開発は、人類が持続可能な社会を実現するうえで最も重要な課題の一つであり、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に大きく貢献すると期待されます。とりわけ光触媒技術は、太陽光を駆動力とし、水や二酸化炭素をクリーンなエネルギー源である水素や有用な化学品に変換できることから、触媒作用の高効率化に向けた研究が精力的に行われています。立川教授は、この課題に対して、1)単一分子・単一粒子顕微分光法による光エネルギー変換過程の機構解明、および、2)単一分子・単一粒子化学に立脚した高効率光触媒の開発の二点に注力し、多くの重要な成果を挙げてきました。業績1については、光触媒として有用な金属酸化物やプラズモニックナノ材料、次世代太陽電池や発光材料として注目されている有機無機ペロブスカイトなどを対象に、光エネルギーと物質の変換過程を単一分子・単一粒子レベルで観測し、それらの反応機構を明らかにしました。業績2では、業績1の知見をもとに、ナノ粒子が三次元的に配列した超構造体である「メソ結晶」を開発し、それらを光触媒として応用することに成功しました。これらの業績は、太陽光エネルギー変換の学理構築と技術発展に大きく貢献するものです。

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