災害復興における地域の歴史遺産活用について考える「園田学園女子大学×神戸大学 歴史・文化シンポジウム『災害復興と地域歴史遺産』」が2024年2月25日、尼崎市の園田学園女子大学で開かれ、神戸大学地域連携推進本部の松下正和特命准教授らが研究成果を報告しました。

2025年は阪神・淡路大震災発生から30年の節目の年となります。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの被災地における復興のなかで、地域にある歴史遺産がどのように活用され、次の世代に継承されてきたのか。このテーマに焦点を当て、例年実施しているCOC+(文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」)の「歴史文化領域」シンポジウムを開催することにしたものです。

奥村弘・神戸大学副学長の挨拶の後、大阪の坐摩(いかすり)神社権禰宜で國學院大學客員教授の橋本裕之氏が「無形文化財/無形文化遺産を動態保存する-社会実装としての阪神虎舞-」と題して発表。東日本大震災で被災した岩手県の民俗芸能「虎舞(とらまい)」を関西に移し保存する活動についての報告がありました。

松下特命准教授は、阪神・淡路大震災を契機に設立された歴史資料ネットワークを取り上げ、「風水害による被災歴史資料の保全と活用について」と題して、2004年台風23号・2009年台風9号被災地での地元郷土史団体による活動について報告を行いました。

これらの報告に先立ち、神戸市長田区にあるNPO法人DANCE BOXに拠点を置く芸能集団「阪神虎舞」による実演もありました。約20人が参加し、ディスカッションでは災害復興における地域歴史遺産の意義について有形・無形双方の文化財の立場から議論が交わされました。2024年度は阪神・淡路大震災をテーマに開催する予定です。

  (地域連携推進本部)