5月15日、関西エアポート株式会社の協力のもと、関西国際空港の見学会を開催し、30名の学生・教職員が参加しました。関西エアポートグループによる脱炭素・循環経済・環境共生の取組みに関するショートレクチャーの後、2016年に空港内初の水素ステーションとして開設された2期島の「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」、神戸大学と共同で2019年度から事前調査を行い、2021年度からは環境省地球温暖化対策事業の採択を受け導入した第2ターミナルでの「感染症対策型AIスマート空調」実証システムの見学を行いました。
水素ステーションは、空港における水素グリッドプロジェクトとして、燃料電池フォークリフトの実用化や、燃料電池バスの導入、水素エネルギーの利活用を推進する一環で整備されたもので、一部の技術は現在進行形で開発が進められています。展示室では、現在日本国内で進められている水素エネルギー社会の実現に向けた取組み状況や克服するべき課題についても詳しく説明いただきました。
関西エアポート株式会社によるイントロダクション 水素ステーションでの集合写真
第2ターミナルでは、神戸大学カーボンニュートラル推進本部 先端スマート技術研究開発センター長の長廣剛特命教授から、AIスマート空調実証実験の内容について実際に設備を見ながら解説していただきました。スマート空調技術は、フライト情報や天気情報といった各種データと人流密情報をAIが解析し、空調の最適化をはかるもので、第2ターミナルでの実証の結果、年間電力量で58%削減、ウィルスのコロニー数96%削減という省エネ・ウィルス感染リスク低減効果が得られています。AIスマート空調技術の開発は、2023年度現在、神戸大学との共同研究として全国で約130ものサイトで導入が開始されており、関西国際空港第2ターミナルでの実証実験はその大空間モデルとして重要なプロジェクトとなっています。
長廣剛特命教授による第2ターミナルでのAIスマート空調実証システムの解説
関西エアポートグループによる環境の取組みは、見学対象となったプロジェクト以外にも、自家消費型を中心とした太陽光発電の導入推進、SAF(持続可能な航空燃料)の地産地消、ブルーカーボンとして注目される藻場の保全など、非常に幅広いものです。人工島である空港島では、常時冷熱・温熱を建物群に供給する地域冷暖房システムや、廃棄物処理が島内で完結されています。見学会では、移動のバス内でもそうした各種施設を解説していただき、総合的な環境への取組みに触れることができました。
また、見学会終了後は、喜多副学長や長廣特命教授らが、関西エアポート株式会社 代表取締役社長CEO山谷佳之氏を表敬訪問しました。SDGsや脱炭素に関する産学連携などについてさまざまな意見交換を行い、AIスマート空調技術の社会実装の加速化にも力強いエールをいただきました。
関西エアポート株式会社 山谷代表取締役社長CEO(右から3人目)を表敬訪問した喜多副学長・SDGs推進室長(同4人目)ら
今回の見学会の開催にあたり、格別のご協力をいただいた関西エアポート株式会社の皆さまに厚く御礼申し上げます。SDGs推進室では、こうした機会をさらに充実させてまいります。多くの学生の皆さんのご参加をお待ちしています。
(SDGs推進室)