神戸大学都市安全研究センター(RCUSS、センター長=滝口哲也教授)は1月20日、「第4回震災復興・災害科学シンポジウム」をオンライン形式で開催しました。本学が災害科学分野の包括協定を結んでいる東北大学との連携のもと、両大学から7人の研究者が講演・研究発表を行いました。
東日本大震災10年となった2021年から毎年開いており、今回は研究者や学生、市民ら90人が参加しました。最初に、東北大学加齢医学研究所/災害科学国際研究所の杉浦元亮教授が「災害への適応的心理・行動特性:災害を生きる力の8因子」と題して特別講演。東日本大震災の被災者を対象とした調査で、災害への適応に資する心理・行動特性「災害を生きる力」の因子を抽出した研究について発表しました。主要8因子として「リーダーシップ、問題解決、愛他性、頑固さ、エチケット、感情制御、自己超越、能動的健康」を挙げ、今後の災害対応や防災教育に活用できる可能性を示しました。
続いて本学の6人の研究者が、幅広い分野から災害にかかわる研究内容を発表しました。テーマ概要と発表者は、①災害廃棄物に関する普及啓発・広報における経験知の活用(田畑智博・人間発達環境学研究科准教授)、②海域で発生する地震による地震波の伝播の数値シミュレーション(筧楽麿・理学研究科助教)、③東日本大震災の復興・まちづくりのにない手の変化に関する考察(井口克郎・人間発達環境学研究科准教授)、④マリンハザード研究―津波からの船舶の避難(林美鶴・内海域環境教育研究センター准教授)、⑤2023年トルコ地震における地表地震断層と液状化によるインフラ被害(鍬田泰子・工学研究科教授)、⑥大震災の映像資料公開をめぐって―阪神・淡路大震災の記憶継承のために(奥村弘・人文学研究科教授)で、各発表の後には活発な質疑応答がありました。
都市安全研究センターは、1995年の阪神・淡路大震災を受けて96年に創設されました。来年は大震災30年を迎えることから、第5回震災復興・災害科学シンポジウムは規模を拡大し、本学を会場として開催する予定です。本学は「阪神・淡路大震災30年事業委員会」(委員長・藤澤正人学長)を設置しており、同委員会のもとで今後約1年間、全学的な研究の成果を継続して発信していきます。
都市安全研究センターの近藤民代副センター長は「1月1日に発生した能登半島地震で甚大な被害が発生し、南海トラフ地震などの巨大災害も迫っている。阪神・淡路大震災を経験した神戸大学、東日本大震災を経験した東北大学の連携をさらに強め、災害分野の研究をより一層進めていきたい」と語りました。
プログラム
当日のプログラム内容はこちら
(都市安全研究センター)