理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター染色体分配研究チームの京極博久客員研究員(神戸大学大学院農学研究科准教授)、北島智也チームディレクター、フィジカルバイオロジー研究チームの柴田達夫チームディレクター、無細胞タンパク質合成研究チームの清水義宏チームディレクター、生命医科学研究センター疾患エピゲノム遺伝研究チームの井上梓チームディレクター、九州大学大学院医学研究院の原田哲仁教授らの共同研究グループは、受精卵において母と父のゲノムが二つの前核に分かれて「別居」することが、その後の正常な胚発生に重要であることを発見しました。

本研究成果は、生命の最初期における発生の仕組みの理解を深めるとともに、不妊治療における受精卵の発生能力の理解に貢献すると期待されます。

哺乳類の受精卵では、雌性前核と雄性前核という二つの核が形成され、母親由来と父親由来のゲノムが最初の細胞分裂まで別々に保持されます。しかし、父母ゲノムが離れて存在する生物学的意義は明らかではありませんでした。

共同研究グループはマウスを用いて、父母ゲノムを人工的に一つの前核にまとめた受精卵を作製しました。この父母同居型の前核はサイズが巨大化する一方で、ゲノムのヒストン修飾レベルが全体的に低下し、その後の胚発生能力も低下することが分かりました。さらに前核のサイズを制御する因子は細胞質中に存在し、二つの前核はこの因子を奪い合うことでお互いの部屋をコンパクトに抑え、自身のヒストン修飾を維持しやすくすることが明らかになりました。

本研究は、科学雑誌『Nature』オンライン版(4月29日付:日本時間4月30日)に掲載されました。

父母ゲノム別居による胚発生制御

詳細(プレスリリース本文)

論文情報

タイトル

“Cytoplasmic competition between separate parental pronuclei in zygotes”

DOI

10.1038/s41586-026-10417-7

著者名

Hirohisa Kyogoku, Mitsusuke Tarama, Masahiro Matsuwaka, Tappei Mishina, Akihito Harada, Reiko Nakagawa, Mami Kumon, Yoshihiro Shimizu, Yasuyuki Ohkawa, Tatsuo Shibata, Azusa Inoue, Tomoya S Kitajima

掲載誌

Nature

報道問い合わせ先

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研究者