島根大学医学部解剖学講座(神経科学)の藤谷昌司教授、大谷嘉典助教、神戸大学の内匠透教授、兵庫医科大学の古賀浩平准教授らの共同研究グループは、自閉スペクトラム症(ASD)のモデルマウスにおいて、特定の脳神経回路を人工的に活性化させることで、神経細胞の構造異常を正常化できることを明らかにしました。
具体的には、神経の電気信号を発生させ、出力を適切に保つ「スイッチ」のような役割を担う「軸索起始部」が、ASDモデルマウスでは短縮していました。しかし、今回の介入によってその長さが正常な水準に回復し、それに伴い、社会性の低下や常同行動といったASD様行動も改善されることを示しました。
本研究により、ASDモデル動物で観察される脳の構造異常は、決して「不可逆的な(元に戻らない)損傷」ではなく、「可逆的な(回復可能な)現象」であることが示されました。特定の神経回路を標的とした介入が、自閉スペクトラム症に対する全く新しい治療戦略となり得ることが示唆されます。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Cell Death & Disease』(Springer Nature社、オープンアクセス)に、2026年5月19日付で掲載されました。

研究代表者
- 島根大学医学部 解剖学講座(神経科学)
藤谷 昌司 教授
- 神戸大学医学部 内科系講座 精神医学分野 生物学的精神医学部門
内匠 透 教授
- 兵庫医科大学 生理学神経生理部門
古賀 浩平 准教授
論文情報
タイトル
DOI
10.1038/s41419-026-08873-0
著者名
Yoshinori Otani, Xiaowei Zhu, Xinlang Liu, Kohei Koga, Ryo Kawabata, Hisao Miyajima, Toru Takumi, Masashi Fujitani
掲載誌
Cell Death & Disease(Springer Nature社、オープンアクセス)
掲載日
2026年5月19日



