理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター動的恒常性研究チームのユ・サガンチームディレクター(神戸大学大学院医学系研究科客員准教授)、森川源大大学院生リサーチ・アソシエイト(神戸大学大学院医学研究科博士課程学生)らの共同研究グループは、ショウジョウバエを用いて、古い腸細胞が新しい細胞に置き換わるときに起きる暗黒の細胞死エレボーシスが、細胞内のヘムという鉄を含む分子により制御されていることを明らかにしました。

本研究成果は、臓器や組織の機能・形態の恒常性維持に重要な役割を担う細胞の新陳代謝の仕組みについて新たな知見をもたらすとともに、将来的にはがんなど異常細胞が蓄積する機構の解明にもつながる可能性があります。

さまざまな動物の腸では、細胞が日々置き換わることで腸の恒常性が維持されています。ショウジョウバエでは、古い腸細胞はエレボーシスという細胞死で除去されます。エレボーシスは、アポトーシスなど他の細胞死とは異なる特徴を持つ細胞死であり、その制御機構はよく分かっていません。

今回、共同研究グループは、細胞内のヘムの減少がエレボーシスを引き起こし、それにより腸細胞の新陳代謝が維持されることを発見しました。さらに、ヘムの増加によりエレボーシスが抑制される過程では、シグナル伝達経路の一つであるDpp/BMPシグナルが関与していることも分かりました。これらの結果により、これまで未知だったエレボーシスの制御機構の一端が明らかになりました。

本研究は、科学雑誌『PLOS Biology』オンライン版(8月19日付)に掲載されました。

腸細胞のエレボーシス(黒い細胞)を抑制するヘム 

詳細(プレスリリース本文)

論文情報

タイトル

"Heme acts as a metabolic brake on erebosis in the Drosophila gut"

DOI

10.1371/journal.pbio.3003942

著者

Motohiro Morikawa, Tetsutaro Hayashi, Yuko Ikegawa, Tomomi Takano, Kazuya Wata, Hirohisa Kyogoku, Mariko Kuse, Mika Yoshimura, Hiroshi Nishida, Rahul Parit, Dao My Linh, Kanta Kawai, Tasuku Hirayama, Chun Wang Sy, Kan Etoh, Itoshi Nikaido, Sa Kan Yoo

掲載誌

PLOS Biology

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