神戸大学大学院海事科学研究科の矢野吉治教授を機関代表とする研究グループは、日本郵船グループの株式会社MTI株式会社日本海洋科学との共同研究「人工知能をコア技術とする内航船の操船支援システム開発」※1 の一環として、12月8日~10日に大阪湾において実船試験を行いました。

練習船深江丸

実船試験では、共同研究代表者である大阪府立大学の橋本博公教授(神戸大学海洋底探査センター客員教授)らが開発した自動操船AIを用いて操船制御を行いました。これは、深層強化学習である深層Q学習と航海シミュレーションを組み合わせ、膨大な回数の試行学習を通じて、衝突回避のための行動方策を習得したものです。開発した操船支援システムは、レーダー・AIS (船舶自動識別装置)などのセンサーにより取得した船舶操船空間の情報をAIに入力し、変化する周辺状況に応じて最適な針路を選択、その針路をオートパイロットに伝送することにより操船制御を行うものです。

今回、大阪湾において神戸大学大学院海事科学研究科附属練習船「深江丸」の専用オートパイロット※2 とAIによる操船支援システムを連結し、渕真輝船長の指揮のもとで実船試験を実施しました。自動操船AIは、多くの船舶が行き交うふくそう水域の大阪湾において、航行中の他船や障害物に対して、指定された安全航過距離を確保しつつ避航操船を行うことが確認されました。

試験時の船内
AI操船システム
  • ※1 国土交通省総合政策局 平成30年度「交通運輸技術開発推進制度」採択課題
  • ※2 神戸大学大学院海事科学研究科の若林伸和教授が開発したもの

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研究者