グローバル教育センター(旧国際教育総合センター)留学生教育部門では、毎年、海外協定大学の学生を対象とした「夏期日本語日本文化研修プログラム」を実施しています。今年は、非協定校1校を含む、中国、台湾、韓国、インドの5大学(南京大学、国立台湾大学、韓国外国語大学、木浦大学、サビットリバイ・フール・プネー大学)から8名の留学生が、7月5日から15日までの約10日間、日本語・日本文化について学びました。

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受け、今年も昨年に引き続きオンラインによる開催となりましたが、日本語を話す力を強化できるプログラムとしてデザインしたところ、日本語を話すことに自信がついたとの声が多数寄せられ、参加学生からも好評のうちに終えることができました。

今年のプログラムでは、「大学生活」「日本文化の海外進出」「神戸」「地域経済」「日本の文化・習慣」「就職」というテーマのもと、午前の授業では、各々のテーマに関する新しい知識を身につけ、午後の授業では、午前に学んだことについて、神戸大学生とディスカッションを行うことで、理解を深めることを目指しました。また、講義とバーチャルツアーを組み合わせた「地域研究」という授業も実施し、神戸の歴史や文化、地域住民の生活に欠かせない地域商店街の魅力にリアルタイムで触れられる時間も取り入れました。参加留学生は、日本語に囲まれた10日間を過ごしながら、同年代の学生との交流やバーチャルツアーも経験することで、まるで日本にいるかのようだと喜んでいました。

最終日は、発表会を開催し、授業で取り上げられたテーマについて各自がさらに調べたことを発表してもらいました。大学のサークル活動やお正月や成人式といった日本の年中行事について出身国・地域と比較を行ったものや、神戸にスイーツ文化が強く根付いた背景を調べたものなど、留学生ならではの視点から気づいたことについて、様々なテーマで発表が行われました。十日間という短い期間ながらも、日本語力の向上だけでなく、日本の文化や社会、さらには神戸について理解が深まっていることがうかがえる発表会でした。

また、本プログラムは、参加留学生だけでなく、神戸大学生にとっても異文化交流ができる場となっています。神戸大学生には、午後の授業におけるディカッションだけでなく、午前の授業にも一部参加してもらいました。特に、午前の授業に参加をしてもらった学生は、センターの専任教員が担当する「日本語・日本事情演習(国際人間科学部開講)」という授業を履修して、講義やケーススタディを通じて「日本語学習者から見た日本語の難しさ」について学んだ後に、本プログラムの授業に参加しています。履修生は、留学生の日本語学習活動に関わってみることで、日本語や異文化交流に関する理解をさらに深めることができます。このように、本プログラムは、在学生においても多様な文化・言語背景を持つ同世代の留学生との交流を通して、日本を「外から見る」視点を養うとともに、各国の事情や異文化コミュニケーションについて学ぶ貴重な機会となっています。

今年で20回目を迎えた本プログラムでは、これまで約600名の留学生を受け入れてきました。過去には、本プログラムへの参加をきっかけに交換留学生や大学院生として、神戸大学に“帰ってきた”留学生も多数見られます。今回の参加者からも「神戸に実際に訪れてみたい」「神戸大学に留学したい」との感想が多く寄せられました。コロナ禍で国を超えての移動がなかなか叶えられない昨今ですが、今回の開催を通して、オンラインプログラムの可能性を探ることができました。今後も引き続き、時代や状況に合わせた様々なツールを利用して、神戸と神戸大学の魅力を継続的に海外に発信していければと思います。

地域研究・バーチャルツアー(商店街)の様子

 

 

 

 

 

(グローバル教育センター)