グローバル教育センターは、12月17日、18日の両日、大阪市此花区にあるホテル・ロッジ舞洲にて、第28回神戸大学国際学生交流シンポジウム(Kobe University International Students’ Symposium)を開催しました。神戸大学国際学生交流シンポジウムは、「KISS」の名称で親しまれている1泊2日、合宿形式のバイリンガル(英語/日本語)シンポジウムです。

KISSの理念は、神戸大学のキャンパスに集う学生が、日本語・英語のバイリンガルで自由・活発に討議し、意見交換することを通して、異文化理解・相互理解を深めることにあります。KISSの誕生は、阪神淡路大震災が発生した1995年に遡ります。国際的な医学賞であるWOLF財団賞を受賞した神戸大学西塚泰美元学長が、被災留学生のために役立ててほしいとWOLF賞の副賞を寄付してくださり、地域の篤志家からの留学生への寄付も合わせて基金を設立しました。その一部の資金をもとに、元留学生センター教授の瀬口郁子神戸大学名誉教授が中心となり、留学生・日本人学生からなる実行委員とともにKISS第1回を企画・実施し、その後毎年開催され、今年度で28回を数えました。

KISSの企画・準備・実施、シンポジウム終了後の振り返りの一連の学びの過程を正規の教育に位置付けるという意図により、2013年度以降、神戸大学教養教育院で開講される全学共通授業科目「グローバルリーダーシップ育成基礎演習」として開講しています。

また、当該授業科目は、神戸大学が参画している「文部科学省大学の国際化促進フォーラム採択プロジェクト」『国際共修ネットワークによる大学教育の内なる国際化の加速と世界展開』の連携校の学生も受講可能な科目として設定されており、今年度は、神戸大学の受講生27名に加え、東北大学、信州大学、東京外国語大学、大阪大学から各1名の学生がオンラインで授業を履修しました。

受講生31名の出身国・地域は、日本・中国・韓国・モンゴル・インド・オーストラリア・スイス・スペイン・ドイツ・イギリス・アイルランド・ポーランド・ウクライナ・アルゼンチンと14か国に上ります。多様な文化・言語背景を持つ受講生たちは、日英両言語で多くの時間をかけて議論を重ね、KISS28のメインテーマを“Building a Better Society for the Future Generation”と定めました。KISS28のリーダーを務めてくれた神戸大学理学部竹ノ内萌楓さん、信州大学工学部の高橋幸一さんのリーダーシップの下、受講生たちは7つのグループに分かれてそれぞれサブトピックを立て、日本語・英語の両言語を駆使して文献・資料を収集し、KISS28に向けて協力して準備を進めてきました。

2020年度、2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでKISSを開催してきましたが、2022年度は3年ぶりに合宿形式を再開しました。普段オンラインで授業に参加していた東北大学、信州大学、東京外国語大学、大阪大学からの4名の学生達も大阪に駆け付けてくれ、対面でKISS28に参加しました。

学生達は学外の施設で寝食を共にし、バイリンガルでのプレゼンテーション、ディスカッションまた交流活動を通して、様々な視点から議論を尽くし、相互に親睦を深め、冬の晴天に恵まれた舞洲の爽やかな空の下、笑顔の集合写真でシンポジウムを締めくくりました。さらに1月19日には、KISS28での学修成果をオンラインのシンポジウムとして公開し、約4か月にわたる国際共修の学びを総括しました。

神戸大学では現在、多様な学生達の相互に学び合う国際共修を拡充することを目指しています。グローバル教育センターでは、留学生に対する日本語教育に加え、KISS等の教育活動を通して、今後もキャンパスの国際化促進に資する教育活動に従事していきたいと思います。

(グローバル教育センター)