神戸大学医学研究科は、医学と工学の融合による医療機器開発を目指す「医療創成工学専攻」が4月からスタートするのに合わせ、3月29日に医学研究科(神戸市中央区)で記者会見を行いました。村上卓道医学研究科副科長ら4人が出席し、2025年4月に医学部に医工融合型の新学科を設置する方針を明らかにするとともに、医療機器開発の新拠点を医学部附属国際がん医療・研究センター(神戸市中央区港島南町)の敷地内に整備する計画を発表しました。

日本の医療機器は欧米からの輸入が輸出を上回り、近年、1兆5千億円程度の貿易赤字を計上しています。とくに手術室で使われる高度な医療機器は欧米製が主流となっています。「医療創成工学専攻」は、こうした医療機器の国産化を目指し、研究開発を担うリーダーとなる創造的開発人材を育成します。医療機器システム学、精密診断治療機器学、体内医療機器学の3分野を設け、第1期生は修士課程15人、博士課程12人の計27人が入学します。臨床現場を活用した実践教育や、医師や工学研究者、企業技術者など多様な人材が集まることでイノベーションを促進し、毎年1~3件程度の医療機器の新規開発を目指します。また、新学科は定員25人程度となる予定で、文部科学省に設置申請を行います。

新しい研究開発拠点は7階建て、約3000平方㍍の建物を建設する予定で、セミナー室やラボを備え、医療機器の研究開発のプラットフォームとしての機能を果たし、神戸医療産業都市の一翼を担っていきます。

なお、医学研究科は、医療創成工学専攻の設置記念の式典と講演、シンポジウムを4月8日午後1時から5時まで、医学部会館「シスメックスホール」で開催します。記念講演には、医療機器開発に詳しい波多伸彦ハーバード大学医学部、国立画像誘導手術センター教授と、池野文昭スタンフォード大学医学部循環器科主任研究員が登壇します。

(総務部広報課)