国際人間科学部が実施している国際共修「神戸大学グローバル・キャンパス・プログラム」の一環で、学部生と留学生16名が8月5日、京都市の西陣織の老舗「細尾」を訪問し、日本の伝統産業を守りながら、海外の高級ブランドとの協働など、革新的な事業を展開している同社の経営理念や戦略について学びました。

 80年代に隆盛を極めた西陣織産業は、着物文化の衰退などで、現在の市場は最盛期の1割にまで下落。多くの同業他社が廃業していく中、同社は、20数年前からシャネルやディオールなどの有名ブランドとのコラボレーションによって、家具やインテリアなどに西陣織を取り入れるなど、新たな販路を開拓し、一躍脚光を浴びるようになりました。

 今回の訪問では、細尾真生会長が、同社の歴史や理念について講義し、AIが考案した図案や、クラゲの遺伝子を組み込んだ光る絹糸を使った織物など、常に新しいことへの挑戦を続ける同社の取組を紹介。細尾会長は「ビジネスの種は過去の取り組みから見つけることができる。経済的な効率性や価格だけではない、『本物』を多くの顧客が求め始めており、それに応える技術を継承していくことが大切」と学生らに話しました。

藍染に挑戦する留学生たち

 また同社「古代染色研究所」では、国際人間科学部の卒業生、高松秀徒さんが染師として、平安時代に始まった古代草木染の再現に取り組んでおり、ニホンムラサキなど、染料となる植物も種から栽培しています。学生たちは、西陣の町屋にある同研究所も訪問し、高松さんの指導で、絹糸に藍染めをする過程を体験しました。その後、ご用意いただいたお弁当のおもてなしに触れながら、細尾会長と高松さんらを交え、人間の手を使うことで生まれる「究極の美」と、その職人技を未来につないでいく若い世代の役割、また、留学生の国における伝統の継承やその復元の取り組みなどについて意見交換しました。

古代染色研究所の前で

(国際人間科学部)