神戸大学は7月28日、明石市と包括的な連携協定を結び、同市役所で締結式と記者会見を開きました。本学の全学的な連携協定は、明石市が加わったことで12自治体・地区(兵庫県内11自治体・地区)となりました。

明石市内には、本学の附属幼稚園、附属小学校、附属特別支援学校があります。2005年4月から、附属幼稚園と同市の公立幼稚園で相互人事交流を行い、2016年から附属特別支援学校で同市の特別支援学級新任担当者研修を実施しています。2020年には、附属小学校と同市が、災害時における避難所としての施設利用に関する協定書を締結しています。また、本学人文学研究科は、2010年から旧明石藩士黒田家関係の資料群の概要調査や市史編纂事業にも加わっています。

本学と明石市が、SDGsの理念のもと、相互の包括的で持続的な連携の協力によって、地域の課題に対応し、活力ある個性豊かな地域社会の形成、発展に寄与するため、今回、連携協定締結の運びとなりました。①人的・知的資源の交流、②協働による調査研究の実施、③主催する事業などに対する相互の協力・支援、④地域の課題解決に向けた共創による取り組み、⑤地域医療・社会福祉の連携推進など多くの分野で連携・協力します。

連携協定締結後、具体的には明石市が推進している「こどもまんなか社会」の実現に向けた一人ひとりの子どもに応じた施策の展開で連携協力を進めます。地域企業との産官学連携の発展が期待される「ゼロ・カーボンあかし」の実現に向けた取り組み、地域医療分野でも協力します。そのほか、地域史料の調査研究、ビッグデータを活用した道路交通状況の分析・予測などでも連携を強めます。豊かな生態系を形成しているため池を次世代に引き継ぐための取り組みは、本学、明石市で進めるとともに、一般社団法人ため池みらい研究所を加えた三者の連携も検討していきます。

締結式には、神戸大学から藤澤正人学長、奥村弘理事・副学長、地域連携推進本部副本部長の和泉比佐子教授、明石市から丸谷聡子市長、佐野洋子副市長、総合政策担当の福嶋慶三理事、久保井順二政策局長が出席しました。藤澤学長と丸谷市長が挨拶に立ち、これまでの連携の経緯や今後の取り組みについて紹介し、協定書にサインをしました。

署名した協定書を示す藤澤正人学長(左)と丸谷聡子明石市長(右)

藤澤学長は、本学の現状と今春設置したばかりのシステム情報学部と医学部医療創成工学科を紹介し、これまでの同市との連携に触れながら、「今回の連携協定により窓口が一元化され、各分野の連携を集約するとともに、新たな連携が次々に生まれることを期待します。両者が連携することで、地域から社会課題を抽出し、それを解決するために相互の強みを生かし補填しあうという、行政と大学のパートナーシップが形成されることを確信しています」と抱負を語りました。

明石市は、これまで県内4大学・高等専門学校と包括連携協定を結び、神戸大学は5校目の包括連携協定となります。挨拶に立った丸谷市長も「これまで本市が取り組んできた『こどもを核としたまちづくり』、『誰にもやさしいまちづくり』のさらなる深化につながる取り組みや、豊かな自然環境の保全に向けた取り組みなどにおいても、より一層の連携を図り、『“もっと”やさしいまち明石』を目指し、神戸大学と共に市民の笑顔があふれるまちを創っていけると期待しています」と話しました。

その後、丸谷市長、久保井政策局長から具体的な連携事業についての説明がありました。包括連携協定締結を記念するこどもタウンミーティングが、8月24日に神戸大学附属小学校と明石公園を会場に開催されます。前半は明石公園にて五感を通じて自然を感じる野外ワークが行われ、丸谷市長がコーディネーターを務めます。後半は、野外ワークを踏まえた子どもと保護者それぞれを対象としたワークショップが予定されており、保護者向けでは本学大学院人間発達環境学研究科の北野幸子教授と村瀬瑠美助教が講師として、こどもの遊びと学びについての対話を行います。

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        (地域連携推進本部、連携推進課、総務部広報課)