令和7年9月30日に、国際文化学研究科の韓 河羅 助教が「第4回 日本文化政策学会 学会奨励賞」を受賞しました。
日本文化政策学会・学会奨励賞は、将来の⽂化政策学を担う研究者の優れた著書、または論文を顕彰する制度で、募集期間の前年(1月1日から12月31日まで)に刊行された論文が対象となります。
- 受賞者
韓 河羅(神戸大学大学院国際文化学研究科・助教)
- 受賞名
第4回 日本文化政策学会 学会奨励賞
- 業績名
「アートプロジェクトにおける自治体とアートNPOの協働に関する研究」
- 概要
本論文は、足立区の《アートアクセスあだち 音まち千住の縁》を事例に、自治体とアートNPOの協働を分析した実践研究です。著者自身の現場への参与経験をもとに、運営の実態に内在する複雑な力学や、協働がもたらす実務上の課題を掘り下げており、理論と実践の架橋を志向する姿勢が明確に示されています。従来の研究がNPO視点に偏っていた点に対し、本研究は自治体職員の働きにも着目し、協働の相互性と多層的な関係性を丁寧に描き出している点に独自性が認められました。特に、成果の捉え方に関する両者の相違がいかなるプロセスで生じるかを明らかにした点は、大きな研究成果と言えるでしょう。
一方で、他のアートプロジェクトと《音まち》の関係性(共通点や相違点など)が十分に検討されていない点、アートNPO側の組織運営に関する相対的視点が不足している点、さらに、一部の章(特に第3章の事例記述)では詳細な現場描写が多くなり論点が曖昧になっている点などに、研究論文としての課題も見られました。
とはいえ、総じて「現場研究」としての一つのあり方を示す意欲作であり、さらなる実践と研究の展開が大いに期待されます。
- 関連サイト
(国際文化学研究科)