国際文化学研究科(国際人間科学部グローバル文化学科:旧・国際文化学部)では、観光分野で活躍する本学出身者の協力をうけ、観光人材育成に関する二つの取組を進めています。社会人を対象とするリカレント講座「観光地域づくりのための次世代人材育成」および観光庁と連携した在学生のためのゲストレクチャーです。

リカレント講座「観光地域づくりのための次世代人材育成」

2023年度から行っている観光リカレント教育では、今年度のキックオフイベントとして、11月1日に神戸空港(団体待合室)で対面セミナーを開催しました。農学部のご出身で、オリエントリース(現在のオリックス)を経て関西三空港の運営会社のトップに就かれた、山谷佳之・関西エアポート株式会社代表取締役社長・CEOに、万博後の関西と観光人材のあり方について、基調講演をしていただきました。

山谷CEOの基調講演

続いて、第二部のラウンドテーブルディスカッションでは、日本政府観光局(JNTO)から松田景子・人事グループマネージャー(発達科学部卒)、リクルートから池内摩耶・じゃらんリサーチセンター研究員(農学部卒:2023年度観光リカレント修了生)、有馬温泉から金井良宮・有馬山叢御所別墅ブランドディレクター(工学部卒)をお招きし、それぞれにご自身の経歴や経験、関西観光の可能性について語っていただきました。

左から松田さん、池内さん、金井さん

 

今年度のリカレント講座は、旅行業、エアライン、自治体・DMO、銀行、メーカー、教育機関などにお勤めの方々から想定を超える数の申し込みがあり、対面セミナーには、国土交通省や関西エアポートからの見学者と学生もあわせて60名以上の参加がありました。第三部では、5つの班に分かれた約40名の受講者が、3つのテーマで議論・発表することを通じて、リフレクションとネットワーキングを行いました。

ゲストレクチャー

11月5日には、昨年度に続き、国家資格「全国通訳案内士」を所管する観光庁と連携した「通訳ガイド」に関するゲストレクチャーを行いました。経営学部出身の府中裕紀・観光庁国際観光課課長補佐と全国通訳案内士の資格をお持ちの山崎敬永さん(国際文化学部卒)に、日本の観光政策と人材育成施策、通訳ガイドという職業の実態と資格取得のコツなどについて講義をしていただきました。お二人の講演に対して、資格取得に関心を持つ学生から多くの質問が寄せられました。

山崎さんによる通訳ガイド実務の紹介

ゲストレクチャーに続いて、国際人間科学部グローバル文化学科で観光まちづくりを学ぶ学生が、通訳案内士制度の活性化策について3つの発表を行い、山崎さんや南丹市美山観光まちづくり協会の高御堂和華さん(国際文化学部卒)をはじめとする通訳ガイド経験者からコメントをもらいました。さらに、観光庁、国土交通省の近畿運輸局と神戸運輸監理部、奈良県庁、日本旅行の方々を交えて議論をし、その後、参加した関係者とともに意見交換会を開きました。

観光人材育成について提言する学生

神戸大学はすでに、観光分野の民間企業のみならず、観光庁や神戸市などの中央省庁・地方自治体、ひょうご観光本部やJNTOをはじめとするDMO・外郭団体などへ優れた人材を数多く輩出しています。今後も各地で観光による地域活性化を担う卒業生と連携し、国際人間科学部・国際文化学研究科をはじめとする諸部局が、観光をテーマとした教育研究・社会連携を推し進めていきます。

(国際文化学研究科)