11月17日、神戸大学大学教育推進機構グローバル教育センターは、明治学院大学のCharles Browne氏を講師に迎え、FDセミナー「Building Core Vocabulary for Global Readiness: Practical Strategies for Using the NGSL and NAWL Word Lists(世界で活躍するための語彙構築)」を開催しました。
グローバル教育センターでは、全学部・研究科を対象に留学を希望する学生への留学相談を行っており、英語能力試験への対応、英語研修・語学留学、交換留学に向けた英語学習、さらには英語力と将来のキャリア形成との関係など、英語学習に関する相談が数多く寄せられています。これらの相談により効果的に応えるために、本セミナーでは、短期・長期の留学や将来の国際的な活躍を見据えて英語を学ぶ学生の支援を目的に、語彙習得に関する課題と効果的な指導方法について、最新の研究成果に基づく講義が行われました。当日は、留学相談・業務を担当する教職員に加えて、大学院生・留学生も参加をしました。


冒頭では、学習者の語彙力不足が英文理解を妨げる主要因の一つであることが示され、語彙カバー率が90%を下回る場合、読解が著しく困難になる点が指摘されました。また、日本の高校等で用いられてきた従来の英語教科書では、実際の英語理解に必要な語彙の75~80%程度しかカバーできていない例が紹介され、より効率的な語彙学習の必要性が強調されました。
続いて、Browne氏が中心となって開発したNew General Service List(NGSL)およびNew Academic Word List(NAWL)について説明が行われました。NGSLは約2,800語で日常英語の92%以上をカバーする語彙リストであり、NAWLは約960語で学術英語を補完するものです。両者を組み合わせることで、学術文献や大学での講義においても90%を超える語彙カバー率が実現可能であることが示されました。最近では、医学英語に関する語彙リストの公開もされています。
さらに、これらの語彙リストを活用したオンライン語彙診断テスト、難易度調整が可能なAIによる英文生成ツール、動画コンコーダンサー、ゲーミフィケーションを取り入れた学習支援システムなど、教育現場で活用可能な多様なツールが紹介されました。語彙指導を、限られた語彙によって理解度を最大化する戦略的な学習支援として捉える点が特徴的です。
参加者からは、「英語語彙習得に関する国際的な研究動向を理解する上で有益だった」「実践的な教材やツールの活用方法を具体的に学ぶことができた」といった声が寄せられ、本セミナーは、留学支援や英語教育の充実に向けた有意義な機会となりました。
関連リンク
New General Service List Project(外部サイト)
(グローバル教育センター海外学生派遣教育部門)