神戸大学は2026年春、本学統合研究拠点本館とアネックス棟の2棟(神戸市中央区港島南町)に「KOBE光ものづくりオープンイノベーション拠点施設」を開所し、5月1日、関係者約50人が出席して「お披露目会」を開催しました。本学の研究者が開発した世界初の科学・技術「光オン・デマンド合成法」を活用し、バイオ由来の化学品を開発・製造する「光ものづくり」の拠点で、産官学金連携を大きく発展させる新施設の船出となりました。

「光ものづくり」は、家畜の糞尿、生ゴミ、下水などから発生するバイオガス、海水・空気を原料として、光で超高反応性物質(バイオホスゲン)を一時的に作り出し、それを即座に他の化学薬品と反応させて、ポリマーや医農薬原料などの高付加価値化学品をつくる技術です。本学大学院理学研究科の津田明彦准教授(光ものづくり共創研究拠点長)が、メタンを原料とする合成に世界で初めて成功しました。2024年4月には、同准教授が本学発のスタートアップ「光オンデマンドケミカル株式会社」を創業し、神戸市と下水処理場での共同研究を開始しました。また、大阪府泉南市と実証実験を行い、し尿や海岸に漂着するアオサなどから発生するバイオガスを使って、化学品が合成できることを実証しました。

今回オープンした新施設は本学学術・社会共創機構と共同で具体的な事業を進める場となります。今後は、光ものづくりの工業生産プロセス開発とスケールアップ研究を行い、産官学金の連携による社会実装を加速させます。下水・海水・空気を原料とする光ものづくりは、カーボンニュートラルやSDGsへの貢献にもつながります。

拠点施設は、本学が2022年に開設した「デジタルバイオ・ライフサイエンスリサーチパーク(DBLR)」の一角を担い、グローバル・バイオクラスターの中核施設に設置されました。 

統合研究拠点本館5階を「共同研究施設」(約170平方メートル)とし、同アネックス棟1階を「インキュベーション施設」(約300平方メートル)に改築したほか、本館・アネックス棟内に「オープンイノベーション推進施設」を整備しました。経済産業省が支援する2024年度第1次補正予算「地域大学のインキュベーション・産学融合拠点の整備」に採択され、総事業費は4億1600万円です。

「インキュベーション施設」では、光ものづくりによるバイオ由来低分子医薬品原料や、医療用高分子材料の開発、それらの商用生産に向けたエコ生産プロセスの研究開発に重点的に取り組みます。バイオホスゲンの取り扱いに特化した世界で唯一の設備や最新鋭の分析機器も導入済みです。本学のバイオものづくり共創研究拠点や神戸市などが推進するプロジェクト、神戸医療産業都市とも連携し、社会実装やスタートアップにつながる先端技術を開発します。

「共同研究施設」では、「光ものづくり」に参画する自治体や企業との共同実験室を整備し、産官学金の連携による新たな科学・技術、ビジネスの創出を企画します。また、「オープンイノベーション推進施設」では、知の交流を推進することによって、組織同士の共同プロジェクト、異分野共創によるイノベーションやスタートアップを創出します。

「KOBE光ものづくりオープンイノベーション拠点施設」は、これらの機能を包括的に有し、兵庫県、神戸市を代表する産官学金融合中核施設を目指しています。

現在、「光ものづくり」に参画協力する機関は、神戸市、尼崎市などを含む2府県5市、化学メーカー、金融機関など連携企業50社超です。廃棄物や天然資源を材料に独自の新たな「光ものづくり」を開発し、本拠点から脱炭素とSDGsに貢献する革新的イノベーションを世界に発信します。2032年までに、1兆円規模の光ものづくり産業の創出を目指しています。

お披露目会では、藤澤正人学長が冒頭、「神戸大学は、これまでも産官学金連携を通じて、研究成果を社会に還元し、新たな価値を創出することを重要な使命として取り組んできました。神戸大学で生まれた光ものづくりが社会実装され、世界を変えていくことを期待しています」とあいさつしました。続いて、経済産業省イノベーション・環境局大学連携推進室の川上悟史室長が祝辞を述べました。また、本学光ものづくり共創研究拠点の津田拠点長が研究内容や活動成果を説明し、ライフ光学イノベーション研究センターの的場修センター長が本学の光科学研究を統括する新たな組織の概要を紹介しました。その後、参加者全員が、新しい拠点施設を見学しました。

 (学術研究・社会共創推進部研究管理課、企画部広報課)

お披露目会であいさつする藤澤学長 
祝辞を述べる経済産業省の川上室長 
「光ものづくり」研究を説明する津田拠点長 
ライフ光学イノベーション研究センターを紹介する的場センター長 
拠点施設が入る神戸大学統合研究拠点の外観 
施設見学の様子
参加者による集合写真