神戸大学と丹波篠山市の地域連携が20周年を迎え、記念事業「神戸大学・丹波篠山市地域連携20周年フォーラム―地域連携の軌跡と未来―」が2026年6月6日に、同市の丹波篠山市民センター多目的ホールで開催されました。本学地域連携推進本部、丹波篠山市、同市まちづくり協議会の関係者、地域住民、大学研究者、学生ら113人が参加し、20年の歩みを振り返り、両者が築いてきた連携の成果と今後の展望を共有しました。

地域連携20周年を記念して開催されたフォーラム(全景写真)

 丹波篠山市は、神戸大学農学部の前身である兵庫県立農科大学が1949(昭和24)年から1966(昭和41)年まで所在し、本学にとって縁の深い地域です。こうした歴史的なつながりを背景に、本学は2006(平成18)年11月に「丹波篠山フィールドステーション」を開設し、農学研究科を中心に、さまざまな分野で地域連携を進めてきました。連携の範囲を全学的に広げることを目的に、2010(平成22)年8月に同市との全学協定を締結、継続的な協力関係を築いています。

■地域連携を支える2拠点施設

 両者の連携は、研究・教育・地域活動の各方面に広がっています。

 地域連携の拠点である丹波篠山フィールドステーションは、農村地域の課題解決と発展のため、現場発のイノベーション、地域に根差した教育と研究、地域の人材育成に取り組む拠点として活用されています。

 また、2016(平成28)年には、JR篠山口駅構内に「神戸大学・丹波篠山市農村イノベーションラボ」を共同開設し、起業と人材育成のための拠点としています。事業推進の主体として共同設立した一般社団法人を2022(令和4)年に再編し、「一般社団法人丹波篠山キャピタル」を設立しました。

■教育活動としての地域連携

 教育面では、本学農学研究科が同市を実践のフィールドとする授業を継続して展開しています。2007(平成19)年から実施している大学と現場を結ぶ「食農コープ教育プログラム」の一環として「実践農学入門」と「実践農学」を丹波篠山の農家の皆さんの協力を得て実施しています。学生が農村地域の現場のリアリティを学ぶとともに、地域の人々との協働にて地域の課題解決に取り組んでいます。

 授業を契機として始まった学生の活動が、自主的かつ継続的な地域活動へと発展していることも連携の大きな特徴です。

 地域密着型サークル「にしき恋」は、「実践農学入門」の授業をきっかけに2013(平成25)年に結成され、西紀南地区で農業ボランティアや地域交流活動を続けてきました。このほか、国際農業サークル「AGLOC」、多世代交流拠点サークル「Luonto」などの学生団体も現在活動を展開しています。

■20年の歩みをまとめた書籍もフォーラムで披露

 今回のフォーラムは、これまでの20年間の取り組みを振り返り、今後の方向性を議論する機会として実施されました。

 冒頭、酒井隆明丹波篠山市長があいさつし、本学地域連携推進本部組織連携推進部門長の中塚雅也教授が、フォーラムの開催趣旨を説明しました。

開会のあいさつをする丹波篠山市の酒井市長
趣旨説明する本学地域連携推進本部組織連携推進部門長の中塚教授

 第1部では、同市内での地域連携の歩みが「20年の軌跡」として報告されました。本学大学院農学研究科の高田晋史准教授、丹波篠山キャピタルのディレクター谷川智穂さん、丹波篠山市の元地域おこし協力隊で市役所職員の菅原将太さん、堀井宏之副市長が登壇し、大学、中間支援団体、学生・市民、行政の異なる4つの視点から地域連携を振り返りました。

地域連携を報告する本学大学院農学研究科の高田准教授
中間支援団体の立場で報告する丹波篠山キャピタルの谷川ディレクター
市民・学生の視点で報告する元地域おこし協力隊の菅原さん
行政の立場で報告する堀井副市長

 第1部と第2部の間には、神戸大学と丹波篠山市の連携に関する展示を見ながらの交流会もあり、自由に感想を話し、参加者同士で親睦を深めました。

交流会会場の様子①

交流会会場の様子②

 

 第2部は「これからの地域連携」をテーマにパネルディスカッションが行われました。中塚教授がコーディネーターを務め、同市古市地区の農家吉良佳晃さん、本学卒業生で元にしき恋メンバーの鈴木太郎さん、元丹波篠山フィールドステーション駐在研究員(神戸大学特命助教)で鳥取大学農学部の木原奈穂子准教授、NPO法人里地里山問題研究所代表で丹波篠山研究会の副代表の鈴木克哉さん、丹波篠山市企画総務部創造都市課の中瀬文隆さんの5人がパネリストを務めました。多様なフィールドで活躍する立場から、これまでの取り組みを踏まえ、今後の地域課題解決や人材育成、地域連携のあり方について意見を交わしました。

「これからの地域連携」をテーマに議論したパネルディスカッション

 

閉会のあいさつを述べる本学地域連携推進本部長の玉岡理事・副学長 

 最後に、神戸大学地域連携推進本部長の玉岡雅之理事・副学長が閉会のあいさつを行い、今後も同市との連携を継続・発展させていくことを確認しました。

 また、本学出版会が記念書籍『地域連携の実践知 神戸大学と丹波篠山市の20年から』を出版し、フォーラムの席上でお披露目されました。全177ページで20年間の歩みや地域連携を支えてきた中間支援の仕組み、今後の官学連携のヒントがまとめられています。

 

(地域連携推進本部)