高等教育推進機構教養教育院開講の教養科目(総合系)「複言語共修セミナー(外国語としての日本語)」(主担当:村山かなえ みらい開拓人材育成センター 研究人材育成部門 特命講師、副担当:西川太郎 グローバルエンゲージメントセンター 特命助教)において、チュラロンコン大学文学部東洋言語学科ユッパワン・ソーピットヴッティウォン文学部准教授の協力を得て国際共同授業を実施しました。
当該授業科目は、多文化理解を考える手がかりとして、外国語としての日本語を多角的に見つめることにより、受講生が自身の言語学習活動を省察すると同時に、異なる言語や文脈における物事への洞察力を涵養することを目的としています。当該授業は、国内学生と交換留学生を含む留学生が共に学ぶ国際/多文化間共修授業として2023年度より開講しています。
第3回の授業日となる6月25日、チュラロンコン大学と神戸大学をオンラインで結び、特別講義 Overview of Japanese language education in Thailand を英語で実施しました。講義では、まず、タイの教育システム、第二次世界大戦前、大戦後から現在に至るまでのタイにおける日本語教育の歴史や、第二外国語教育の観点からタイにおける日本語教育の位置付けについて解説されました。また、チュラロンコン大学での日本語教育の取組が紹介され、タイにおける近年の傾向として、中等教育での日本語学習者が全体の8割以上を占めていること、中国語を第二外国語として学ぶ人が増えていること、大学生だけでなく日本での雇用のために日本語を学ぶ成人が増え、学習者、学習の動機、キャリア選択が多様化していることが解説されました。最後に、ユッパワン准教授自身の日本での留学、日本語習得の経験が共有され、2004年から2005年にかけて本学の旧留学生センター(現グローバルエンゲージメントセンター)で日本語・日本文化研修留学生として学んだ経験、その後の日本での学位取得、現在のチュラロンコン大学での日本語、日本学の教育・研究経験について語られました。
学生からは、中国語がタイで人気である理由、その中で日本語を選ぶ理由について質問がありました。ユッパワン准教授からは、中国の電気自動車企業のタイへの進出などが中国語学習者の増加の背景にあるということ、タイにおける日本企業の存在は現在でも日本語学習の需要に繋がっているという説明がありました。また、ユッパワン准教授自身が神戸大学を留学先として選んだ理由への質問については、神戸大学がタイで知名度が高く、山と海に囲まれた神戸の環境が魅力的であったとの話がありました。授業後には「就職やキャリアといった『実利的な価値』だけでなく、コンテンツの魅力による『感情的な価値』が日本語の独自の強みになっている」と考えた、「ある国の教育政策はその国における言語学習の傾向に強い影響を与えている」と気づいた、などのコメントが受講学生から寄せられました。
神戸大学同窓生のユッパワン准教授による今回の国際共同授業の実施を契機に、今後さらに両大学の研究・教育交流が促進されることが期待されます。



(高等教育推進機構 教養教育院 国際教育部会)