工学研究科電気電子工学専攻の相馬聡文准教授らの研究成果が「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」Cool Japan部門において2位を受賞しました。

受賞者

相馬聡文 工学研究科電気電子工学専攻・准教授

課題名

量子干渉・もつれ構造を活用した音色・音楽生成と共創的パフォーマンスの次世代基盤構築

研究概要

現代の音楽文化において、コンピュータは作曲や演奏、音響処理など、さまざまな場面で活用されています。工学研究科電気電子工学専攻の相馬聡文准教授が代表を務めるチームEntangleTuneでは、従来のコンピュータとは異なる原理で動作する量子コンピュータに着目し、量子力学特有の性質を活用した新しい音楽生成技術の研究開発に取り組んでいます。
量子コンピュータでは、「量子重ね合わせ」や「量子もつれ」と呼ばれる量子力学特有の現象を利用します。本研究では、こうした性質を音の生成や音楽を構成する複数の旋律の関係性に反映させることで、従来とは異なる原理に基づく量子計算論的な音楽表現の可能性を探究しています。

その具体的な取り組みの一つとして、量子もつれによって生じる相関を、音楽における複数の旋律(声部)の関係性に結びつける数理的な枠組みを提案しています。この枠組みを用いて、バッハの「二声のインヴェンション」の楽譜データから、和声構造の特徴を逆問題として解析した結果、量子もつれを考慮したモデルの方が、考慮しないモデルに比べて、実際の楽曲に見られる特徴をより高い精度で再現できることを示しました。さらに、こうした仕組みを応用した楽曲生成手法の開発や、実際の量子コンピュータを利用した音楽生成にも取り組んでいます。

今後は、量子技術に基づく新しい音楽表現や、人間と量子コンピュータが協働する創作・演奏環境の発展を目指すとともに、音楽・芸術、教育、エンターテインメントなどの分野への展開を通じて、量子技術の社会実装と新たな文化的価値の創出につなげていきます。

図:量子もつれを活用した音楽構造解析と音楽生成の概念図

関連論文

S. Souma, “Quantum game-theoretic interpretation of harmonic dynamics in contrapuntal structures,” The European Physical Journal Special Topics (2026). 

DOI:10.1140/epjs/s11734-026-02577-4

関連サイト

 

(工学研究科)