神戸大学大学院医学研究科の清野 進特命教授が、平成30年度の日本学士院賞を受賞することが決まりました。

清野 進 特命教授

日本学士院授賞制度は、明治43年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授賞を行っています。授賞式は明治44年より毎年挙行され、平成30年度で第108回を迎えました。昭和24年以降の授賞式には天皇陛下の行幸を、平成2年からは天皇皇后両陛下の行幸啓を仰いで6月に東京・上野の日本学士院において挙行されます。

清野特命教授の今回の受賞対象研究は「インスリン分泌を制御するシグナル伝達の分子機構に関する研究」です。

受賞理由(日本学士院webサイトより)

清野 進氏は血糖調節の根幹となるホルモンであるインスリンが膵臓のβ細胞から分泌されるメカニズムを分子レベルで解明しました。1921年にカナダのバンティングとベストによるインスリンの発見はそれまで不治とされていた糖尿病患者への福音となりましたが、1990年代までインスリンがどのような仕組みで分泌されるかは依然不明でした。清野氏は分子生物学的手法を用いてインスリン分泌の分子メカニズムを次々と解明しました。血中グルコースが変化した場合のシグナル伝達機構の解明は、インスリン分泌の基本的な分子メカニズムを解明する大きな業績です。清野氏はさらに、血糖降下薬であるスルホニル尿素(SU)薬や近年画期的な糖尿病治療薬として開発されたインクレチン関連薬によるインスリン分泌のメカニズムを明らかにしました。これらの成果は一部の低血糖症や糖尿病の成因の解明ならびに新しい治療法の確立へと発展し、臨床的な意義も大きく、国際的に高い評価を受けています。

本人の受賞コメント

今回の日本学士院賞受賞を大変うれしく、光栄に存じます。これまで、素晴らしい恩師、スタッフ、ポスドク、学生、共同研究者との出会いによって私の研究は発展してきました。これらの人々に心から感謝申し上げます。さらに、私どもの研究室を長年支えてくださった神戸大学の教職員の皆様にもお礼を申し上げます。今後も、できる限り、糖尿病研究の発展と次世代を担う研究者の育成に貢献できるよう精一杯努力を重ねたいと思っております。

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