神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の内田和久特命教授、李仁義特命教授らの活動により、神戸大学は国内のアカデミアとして初めて、2020年6月15日にアジア太平洋経済協力ライフサイエンスイノベーションフォーラム規制調和執行委員会 (以下、APEC-LSIF-RHSC※1) から優良研修センター (CoE) に認定されました。

ポイント

  • 最重要分野である医薬品の「バイオテクノロジー製品」分野でのCoEの認定
  • 国内では、分野を通じて医薬品医療機器総合機構 (PMDA) ※2に続き2番目、アカデミアでは初めての認定
  • 厚労省の「薬事規制研修事業」にて、PMDAやバイオロジクス研究・トレーニングセンター (BCRET) ※3、次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 (MAB) ※4とも協力
  • アジアをはじめAPEC域内の規制当局担当者への実習研修を提供

背景

神戸大学では、国内のバイオ医薬品の開発・製造にかかわる産学の人材育成を重要な産業上の課題として捉え、2015年度より開始した国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 (AMED) の研究開発課題「バイオ医薬品の品質管理等に関わる人材育成プログラムの開発」を用いて人材育成に必要な教育プログラムを開発すると同時に、実習研修ができる施設の整備を行ってきました。実習研修の実施においては、特にアジア諸国の規制当局担当者の研修ができる体制づくりを重点課題として取り組み、2019年にはAPEC-LSIF-RHSCの「バイオテクノロジー製品」分野のパイロット優良研修センター (Pilot CoE) の認定を受け、2019年12月には、CoE認定に向け実際に海外からの規制担当者を受け入れて実習研修を行いました。

詳細内容

2020年6月15日に神戸大学はAPEC-LSIF-RHSCから優良研修センター (CoE) に認定されました。APEC-LSIF-RHSCのCoEの獲得は国内では医薬品医療機器総合機構 (PMDA) に次いで2番目、アカデミアとしては初となります。

これにより、神戸大学では、アジアをはじめとするAPEC域内の医薬品関連の規制当局担当者を神戸に招請し、バイオ医薬品の製造プロセス開発やGMP査察に関する座学および実習を伴う英語での研修プログラムを定期的に実施する予定です。

なお、本活動は厚生労働省医薬・生活衛生局総務課 国際薬事規制室と連携し、厚生労働省の「薬事規制研修事業」の補助を受けて、バイオロジクス研究・トレーニングセンター、次世代バイオ医薬品製造技術研究組合および医薬品医療機器総合機構 (PMDA) の協力のもと実施します。

今後の展開

規制調和推進に向け、海外のように産・官とアカデミアの連携構造を国内でも築くことが可能になり、日本からの情報発信力が強化されます。バイオ医薬品のモダリティの広がりから、遺伝子治療や再生医療といった新しいバイオテクノロジーを応用した製品が出てきており、これらに対する研修プログラムも開発中で、またバイオテクノロジー医薬品の開発やGMP査察に関する研修を通じて国際貢献も行うことが可能です。

注記

※1 APEC-LSIF-RHSC
RHSCは、アジア太平洋の21の国と地域から構成されるAPECの経済協力枠組みの一つとして、域内の医薬品・医療機器規制調和の推進を目的として設置された組織です。APEC地域の主要な規制当局、産業界等が参加し、日本と米国が共同議長を務めています。また、7つの規制調和活動の対象分野とリード国を定め、域内の優れた知見を有する規制当局やアカデミアを優良研修センターに認定して他の規制当局等を対象とする研修を実施させることで、規制調和を進めています。PMDAがこれまで「国際共同治験/GCP査察」・「医薬品安全性監視」・「医療機器」の3分野でCoE認定を受け、アジア医薬品・医療機器トレーニングセンターで研修を実施しています。
※2
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
※3
一般社団法人 バイオロジクス研究・トレーニングセンター
※4
研究技術組合 次世代バイオ医薬品製造技術研究組合

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