国立研究開発法人海洋研究開発機構 地震津波海域観測研究開発センターの中田令子特任技術研究員、堀高峰グループリーダー、地球内部物質循環研究分野の桑谷立研究員、神戸大学都市安全研究センターの吉岡祥一教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科の岡田真人教授らは、近年様々な分野に適用されて成果を挙げているスパースモデリング※1と呼ばれるデータ解析手法を使って、豊後水道における長期的スロースリップイベント (以下L-SSE) の解析を行いました。その結果、L-SSE域の上限および内部にすべり量の急変を見出すとともに、これまでの手法よりもすべり域内部の構造を詳細に推定することができました。また、急変位置は、地震発生帯の下限および深部低周波微動の上限とよく一致することを示しました。

これは、従来なめらかな空間変化しか捉えられないと考えられてきた地殻変動観測データに対する解析で初めて見出された結果であり、今後の地殻変動解析研究の解像度向上にも大きく貢献するものです。

すべり量の急変位置では応力が集中しやすくなることから、その位置を知ることが、プレート境界面上のすべりの時空間変化、それによる次の地震までの応力蓄積・解放過程を適切に推定できることになります。さらには、様々な地震現象の発生メカニズムに関する統一的な理解にもつながります。

なお、この研究はJSPS科研費JP16H01564、JP25120005、JP25120009、JP25120011、JP16K17798、JP16K16108、JP25280090、JP15K20864、JSTさきがけJPMJPR1676からの助成を受けました。

本成果は、7月21日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

研究者