-根こぶ病に幅広い耐病性をもち、播種後70日位で収穫期に達する球肥大性の優れた中早生品種-

この度、神戸大学大学院農学研究科、株式会社 渡辺採種場(以下、渡辺採種場)、宮城県農業・園芸総合研究所の共同研究により開発した根こぶ病抵抗性品種「祭典ネオ70」の販売を開始しました。

研究開発の背景

国内において重要な野菜である白菜の生産現場では、長年の連作(同じ場所で同種の作物を毎年栽培すること)、更には、近年の異常気象や環境変動により、発病すると根が「しょうが」の形のように肥大し、水分や肥料分が吸えなくなり、枯死してしまう『根こぶ病』が全国どこの産地でも深刻な問題となっています。根こぶ病は土壌を媒介して伝染する病害であり、土壌改良資材や殺菌剤により対処されていますが、防除におけるコストと労力がかかる上に、根こぶ病菌の発生を完全に防ぐことが困難です。そのため、白菜自身に根こぶ病菌に対する抵抗性を持たせることが重要となります。しかし、根こぶ病菌には複数の病原型があり、それぞれの病原型に対する抵抗性遺伝子が異なります。このことから、強い根こぶ病抵抗性品種を開発するためには、複数の根こぶ病抵抗性遺伝子を持たせる必要があります。

神戸大学と宮城農園研では、複数の根こぶ病抵抗性DNAマーカー選抜のハイスループット化を実現し、根こぶ病抵抗性遺伝子を複数有する個体の選抜を行いました。そして、渡辺採種場の育種専門家による外観形質・食味を基準にした選抜と組合せることで、新品種「TC9112」を開発し、品種登録出願を行いました (品種登録出願公表中第35320号)。

2022年6月より、「祭典ネオ70」との品種名を付与し、種子販売を開始しました (渡辺採種場ホームページ)。

謝辞

本研究は、以下の支援を受けて行われました。

  • 生研支援センター・イノベーション創出強化研究推進事業 (30029C)

関連リンク

【研究ニュース】

(農学研究科)